キエフ国立フィルハーモニー交響楽団
チャイコフスキー・スペクタクル
11/9(金)pm7:00
すみだトリフォニーホール
チラシに小さな文字で「イタリア奇想曲」とあるのを、見つけ、お小遣いの乏しい10代の頃、すり減るほど聴いた廉価版のLPレコードを思い出しました。これまで、演奏会で聴けたのは1回だけ。ナマでは滅多に聴けない演目です。
それまで、少々暗い、小難しいと思い込んでいたチャイコフスキーのイメージが、この曲で一変したのです。地中海にふりそそぐ陽射しが、燦々と光り輝く、南国イタリア。北国から訪ねてきた彼の思いを勝手に追想したものです。メインディッシュは交響曲第6番「悲愴」なのですが、この「イタリア奇想曲」一曲だけで、買いです。
「キエフ」といえば、カメラファンならコンタックスのデッドコピーを思い出す、工業都市。モスクワ、サンクトペテルブルクに次ぐ、旧ソ連の大都市。が、その歴史は、スラヴ民族発祥の地、ウクライナ共和国の首都として北の大地に重鎮を占める。肥沃な大地は、土の恵みと人生を彩る数々の「うた」を生み、驚くべき音楽の系譜が、また、多くの輝かしい芸術家を生んできた・・・以下は、ウクライナに骨を埋めるべく、キエフ国立大学で教授の職にある平湯拓氏の蘊蓄をお借りした。
父をウクライナ人に持ったピョートル・イリイチ・チャイコフスキーは、度々故郷へ帰って作曲にいそしみ、「白鳥の湖」、「アンダンテ・カンタービレ」等、名旋律の数々が着想されている。<中略>
ウクライナの近代音楽運動は、音楽院院長に赴任したモーツァルトの息子、フランツ・クサヴァー・モーツァルトによって興隆の道を辿り、近年は、古都キエフの象徴ともいえるウラディミール・ホロヴィッツを始め、ミッシャ・エルマン、ナタン・ミルシテイン、ダヴィッド・オイストラフ、レオニード・コーガン、スヴャトスラフ・リヒテル、エミール・ギレリス等、ヨーロッパ音楽の領袖たちを輩出、同国移民まで範囲を求めれば、レナード・バーンスタインその人こそ、憂愁の大地、ウクライナの血をもっとも深く感じさせる存在だ。<中略>
わたくしは、ドイツとロシアにおける学究生活を経て、キエフへ赴任、当地を終の棲家と決めて13年となる。全盛期のヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を親しく見聞した者として、ニコライ・ジャジューラとキエフ国立フィルハーモニー交響楽団は、スラヴ音楽の領域において、同じ高みに登りつめていると思う。
平湯氏の弁もさることながら、この楽団の2005年の来日公演、チャイコフスキー「交響曲&ピアノ協奏曲全曲連続演奏会」で、その実力を知ることとなった。
http://www.nikkyo.jp/ticket/20071109.html
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