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2008年6月 3日 (火)

5月の秀演オーケストラ、三題。

名演に出会って思いが剰り、アト記事を書いてしまいました。

ホーネック/紀尾井シンフォニエッタ東京

5/17(土)・紀尾井ホール
 ホーネックさんの起用が大当たり、吉と出た。ソリストとして弾き振り、指揮者なしのアンサンブルのコンサートマスター、そして最後のシューベルト「未完成」では、これまでの最良の演奏が聴けた。音楽を聴いて落涙なんて、ウン十年ぶりだ。
 この曲の名演奏を聴くと、いつも思う。初演されたのはシューベルトの死の43年後だという。ということは彼と親しい友だちはもう殆ど誰も生きておらず、彼らはこの超名曲を知らずに死んでいったのだ。そんなことって、信じられますか?
 この日は更に高校2年の時の恥かきまで思い出してしまった。文化祭でOB共々「未完成」を演奏することになり、弦楽部の練習指揮者として指揮棒で譜面台を叩いた。メトロノーム代わりを務めたのだ。弦しかいないので、メロディーのオーボエは「ラー、ラーラ、ラー、ラララ、ラー」と唸りながら。本番は音大へ進学したOBが振り、私は前座の「蝶々変奏曲」ほかを振らせてもらった。

シュナイト/神奈川フィルハーモニー
5/23(金)・横浜みなとみらいホール
 ブルックナーというと、思わず“うるさ~い”と耳を覆ってしまうトラウマの私だったが、ピアニッシモで勝負する本物、シュナイト指揮の3月の「ミサ曲3番ヘ短調」で、憑き物が落ちた。続く5月のこのブラームス「交響曲3番」とヒンデミットの交響曲「画家マチス」は、それに輪をかけた秀演。辛口の評論家が「途轍もない名演」と評していたが、食わず嫌いでいたヒンデミットがこんなに身近に感じられるとは! 名曲に聞こえる名演奏だったのだ。
 腰が痛いのだろうか、足を引きずりながら登場する音楽監督のシュナイト翁。だが1930年生まれと云うから、まだ70代だ。神フィルは恵まれている。めきめき力をつけているようだ。

宇宿允人/フロイデ・フィルハーモニー
5/26(月)・東京芸術劇場
 とかく鳴りっぱなしになりやすいチャイコフスキー、二十歳前に初めて聴いたレニングラード・フィルの来日公演でウルサイ曲とインプットされてしまった。その4番が、この日、何ともしなやかな響きを聴かせてくれたのだ。突出しがちな金管群も抑制が利いていた。惜しむらくは、たまにトロンボーンが鳴りすぎるのさえ抑えられたら、云うことナシだったのだが…、でも破格の出来だった。この楽団は、「第九」の終盤など盛り上げるのはメチャ巧いのだが、ピアニッシモで勝負するってことがイマイチ分かっていないのではないか。第3楽章をどれだけ静寂な調べとして呈するか、その有無に、次の歓喜の歌が成功するか否かが掛かっているのに。
 サイモン・ラトルがウィーンフィルを束ねて来日したとき「オーケストラのダイナミックレンジはピアニッシモ如何で決まる。どこまでゼロに近づけられるか、それが私の仕事だ」といっていた。

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