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2008年10月16日 (木)

フランク・ブラレイ ピアノ・リサイタル
ジャズとクラシックを結ぶ奇才
11/19
(水)pm7:15

三鷹市芸術文化センター081119pf
風のホール

 ブラレイは、毎年5月に丸の内界隈で催される「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」の常連アーティストとして知る人ぞ知る、フランスのピアニストだ。
「ベートーヴェンやシューベルトの入ったプログラムも選べたのですが、私たちは、彼の思い入れの深いガーシュインを軸に組まれているこちらの演目を選びました」
 という、主催者の蘊蓄に耳を傾けることにした。なにしろ、ガーシュインといいながら、バッハに始まって、ストラヴィンスキーやヒンデミット、ドビュッシーまで登場するのだから、これはもう、謎解きモドキなのだ。
 まず結論から云ってしまうと、オール・ガーシュインではなく、バッハ以外は近現代の作品ばかりで、一見すると、知らない曲も多いし、腰が退けるかもしれません。しかし、このリサイタルを聴いてしまうと、その後に鑑賞する作品がバラエティ豊かになること間違いなし! と確信しております。
 J.S.バッハのパルティータ第2番で始まり、次のストラヴィンスキーの『コラール」は、タイトルからしてバッハとのつながりが感じられ、また20世紀を生きた作曲家らしく同時代のラグタイムやジャズの空気も感じていたであろうストラヴィンスキーの、その名も「ピアノ・ラグ・ミュージック」を配置。彼はその後1939年にアメリカに亡命、ハリウッドに住みました。
 次いで、ブラレイ自身も影響を受けたという作曲家の一人、ガーシュインの作品が並びます。「ソングス」はブラレイがハルモニア・ムンディからリリースしたオール・ガーシュインのアルバムに全18曲収められています。今回、三鷹で演奏されるのは9曲です。「ソングス」は、ガーシュインが作曲したミュージカルナンバーやポピュラーソングの数々をガーシュイン自らがピアノ1台用に編曲したものです。今回演奏される曲目の中には当時大ヒットし皆さんも耳にしたことがあるかもしれない、
「s'wonderful 」、「I got rhythm」、「Fascinating rhythm」
も含まれています。
 そして、ヒンデミットの「ラグタイム」が続きます。ヒンデミットはジャズやダンス音楽、バロック時代の音楽技法に関心を寄せていた作曲家で、この作品はバッハの平均律クラヴィーア曲集ハ短調のパロディです。
 休憩をはさんで、ドビュッシーの前奏曲集から5曲です。後世のジャズやロックにもその和声の進行や響きの斬新さなどで影響を与えたガーシュインは、フランスの作曲家に関心を抱いていたといわれています。今回演奏される前奏曲集第2巻第6曲の「変わり者のラヴィーヌ将軍」には、ミュージックホールの音楽を思い起こさせるものがあります。
 ラストを飾るのは、ガーシュイン自身による「ラプソディ・イン・ブルー」のピアノ独奏版。
 現在ではピアノとオーケストラという形態で演奏され、テレビドラマ「のだめカンタービレ」のエンディングでも流れたことからご存じの方も多いと思いますが、大編成のオーケストラで演奏されるように編曲したのはクラシック音楽の作曲家(グローフェ)であり、もともとはジャズバンドとピアノで演奏されるように作曲されていました。この曲を作るように依頼したのはアメリカのジャズ王、ポール・ホワイトマンでした。ピアノ独奏版では、古い時代のジャズの雰囲気をたっぷり味わうことができます。それでいて、クラシック音楽としても響きの美しさを味わえるのです。ミュージカル、映画、レビューの世界で活躍したガーシュインはピアノの名手でもあったということが、この日演奏される「ソングス」や「ラプソディ…」を聴くことで再発見していただけると思います。
 以上のプログラムを全曲通して聴くと、それぞれがガーシュインの音楽への入り口になっていたり、またその逆もしかりで、「アメリカとヨーロッパ」「ジャズとクラシック」が気負うことなく自然体にそして幸福にも結びついたガーシュインの音楽が、それぞれの音楽へアクセスする入り口になっていたりする、そんな気がしてくる素敵なプログラミングだと察した次第です。“すべてはつながっていたんだ”ということに気づかれると思います。
 なにより、鍵盤上を華麗に駆け巡るブラレイの両手、そこから生み出される都会的でありながらもノスタルジックな雰囲気をお楽しみください。
http://mitaka.jpn.org/ticket/0811190/
注:写真は、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、全画面見られます。

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