栗國淳演出の“トゥーランドット”に酔う
3/28・29:神奈川県民ホール
この公演を“Music a la Carte”で最初に告知したのは昨秋11月だった。銀座で行われた記者会見の様子を報じた。びわ湖ホールとの共催だが、そのメリットを主催者はこう謳った。
…複数のホールで上演回数を増やすことで出演者の舞台経験を積むことができ、質の向上を図るのが狙い。出演者はすべて日本人。指揮の沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)がオーディションで選抜した。
神奈川公演のチラシにこうある。“日本最高レベルのキャストにより、日本オペラ界の総力を結集したニュー・プロダクション”…
このウリが見事に実証された。
張りぼてではない重厚な舞台。終盤に向けての緊迫した演技。息を詰めての観劇など、10年ほど前の、新国立劇場公演の巨大な地球儀以来、久しぶり。素晴らしい舞台だった。
初日のタイトルロール横山恵子は、最初の「トゥーランドット」出演はリュー役だったそうだが、そんなこと信じられないほど、冷徹な王女を演じ、水口聡のカラフを威圧…バリトンから転向したという先入観か高音が辛そうで、そう見えるのか…。
二日目のトゥーランドット並河寿美は、昨年、佐渡裕プロデュースの「メリー・ウィドウ」で浮気な女房ヴァランシエンヌ役を見事に演じ(この日のハンナとは対照的で“ノン・ビブラートの佐藤しのぶ”と某氏評)、その実力は承知だったが、期待に応えてくれた。冷徹な氷の女が、これまた好演のカラフ福井敬によって、終盤、徐々に解凍していく様を見事に演じていた。
それに加えて、100人は居ようかという群衆。無関心だった彼らが、時には為政者におもね、時にはその非情さに動揺し、怒る。合唱団を演技指導する演出家栗國淳の、稽古の様子を思い出した。
http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-54e5.html
…新約聖書の時代にイエスを罪人に仕立てあげていく群衆、アジテーターも、こうしたものだったのだったのだろうか…
.
.











藤原歌劇団の出口は、1987年「ルチア」でデビューというオペラ歴20年以上のベテラン。以来、ヴィオレッタは10回以上、リュー、ジルダ、ミカエラなど、文字通り百戦錬磨。デズデーモナ役は新国主催の2003年以来6年ぶり。キムは、「ルチア」のエドガルドでオペラ・デビューを果たし、「ルイザミラー」、「トスカ」などに出演している。今年「第55回プッチーニ・フェスティバル」に出演が決まっている。この日の稽古でも、本気で歌った時の艶を保ったままの力強いフォルテには思わず聴き入ってしまう。 
最近のコメント