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2009年3月30日 (月)

栗國淳演出の“トゥーランドット”に酔う
3/28・29:神奈川県民ホール

  この公演を“Music a la Carte”で最初に告知したのは昨秋11月だった。銀座で行われた記者会見の様子を報じた。びわ湖ホールとの共催だが、そのメリットを主催者はこう謳った。
 …複数のホールで上演回数を増やすことで出演者の舞台経験を積むことができ、質の向上を図るのが狙い。出演者はすべて日本人。指揮の沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)がオーディションで選抜した。
 神奈川公演のチラシにこうある。“日本最高レベルのキャストにより、日本オペラ界の総力を結集したニュー・プロダクション”…
 このウリが見事に実証された。
 張りぼてではない重厚な舞台。終盤に向けての緊迫した演技。息を詰めての観劇など、10年ほど前の、新国立劇場公演の巨大な地球儀以来、久しぶり。素晴らしい舞台だった。
 初日のタイトルロール横山恵子は、最初の「トゥーランドット」出演はリュー役だったそうだが、そんなこと信じられないほど、冷徹な王女を演じ、水口聡のカラフを威圧…バリトンから転向したという先入観か高音が辛そうで、そう見えるのか…。
 二日目のトゥーランドット並河寿美は、昨年、佐渡裕プロデュースの「メリー・ウィドウ」で浮気な女房ヴァランシエンヌ役を見事に演じ(この日のハンナとは対照的で“ノン・ビブラートの佐藤しのぶ”と某氏評)、その実力は承知だったが、期待に応えてくれた。冷徹な氷の女が、これまた好演のカラフ福井敬によって、終盤、徐々に解凍していく様を見事に演じていた。
 それに加えて、100人は居ようかという群衆。無関心だった彼らが、時には為政者におもね、時にはその非情さに動揺し、怒る。合唱団を演技指導する演出家栗國淳の、稽古の様子を思い出した。
http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-54e5.html
…新約聖書の時代にイエスを罪人に仕立てあげていく群衆、アジテーターも、こうしたものだったのだったのだろうか…

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2009年3月25日 (水)

続・ピアノ誕生300年
でも、何故、誕生が1709年なのだろう?
日本演奏連盟第21回クラシック フェスティバル
5/8(金)pm6:30090508
東京文化会館
大ホール

 バルトロメオ・ディ・クリストフォリ(1655~1731)は1687年、イタリアのコジモ3世の息子、フェルディナンド王子のお抱え楽器製作者となった。熱心な楽器愛好者だった王子は、クリストフォリに仕事場を与えて、チェンバロの改良に専念させ、クリストフォリもそれに報いようと努力した。その結果、ついに「クラビチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」を創り上げた。これはピアノ(弱音)もフォルテ(強音)も弾ける大型チェンバロで、この長い名前を略したのが、「ピアノ」という呼び方になった。
 弦を弾く鍵盤楽器チェンバロは音の強弱を表現することが出来なかった。クリストフォリはそれを実現した訳だが、やはり、それにはキッカケがあったはずだ。創作の動機となったのは何か?
 箱型の共鳴体に張られた多数の金属製の弦を、ばちで打って演奏するダルシマーという楽器の存在だ。大型のチターだと思えばよいだろう。金属製の弦を打って音を出す点や、音色の類似性からこちらを「ピアノの先祖」と呼ぶこともある。(Wikipedia)
 さらに、もう一つ。このダルシマーを驚異的な技術で演奏したパンタレオン・ヘーベストライト(1669~1750)という天才的ダルシマー奏者の存在だ。彼は、囁くようなピアニッシモから雷鳴が轟くようなフォルテッシモまで、ダルシマーの可能性を極限まで知らしめたのだという。しかし、その超絶的演奏は彼以外になし得なかった。何とかこの豊かな音色をより容易に演奏できる楽器。それを待望す風潮に鍵盤楽器製作者クリストフォリが挑んだのだ。指でコントロール出来る鍵盤楽器とすることで、その奏法の困難さをメカニズムで解決した。(民音音楽博物館「ピアノ誕生300年」参照)
 さて、いよいよ“何故1709年なのか?”だ。1711年、ヴェニスで出版された「イタリア文学(Giornale de' letterati d'Italia)」紙上に発表された記事に、1709年にクリストーフォリと会って実際に楽器を見て書いた紹介記事がある。 この中で、「彼はすでに3台の普通サイズの新しい楽器を作っていた」と書かれているそうだ。つまり、1709年の段階で既にクリストーフォリは少なくとも3台のピアノを作り上げていたというのが史実であるのに、これがなぜか誤解されて、1709年にピアノが発明された、という誤った認識が広がった。(筒井一貴氏HPより)
 開発…言うは易し…である。鍵盤からハンマーが弦を打ち、音を持続させる機構開発の経緯は筒井氏のHPに詳しい。ピアノのメカニズムに関心のある方にオススメです。
http://www.h3.dion.ne.jp/~bergheil/CristoforiSiteTop-J.html
 5月8日、上野の文化会館で催されるフェスティバルは、ソロから連弾、2台ピアノ、そして5台ピアノまでという画期的なイベントだ。ただし、ここに登場する楽器はすべて現代のグランドピアノです。
http://www.jfm.or.jp/concert/classic.htm

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2009年3月24日 (火)

ピアノ誕生300年
日本演奏連盟第21回クラシック フェスティバル
A Celebration of 300Years of the PIANO
5/8(金)pm6:30090508
東京文化会館
大ホール

 日本屈指の演奏家が集う日本演奏連盟主催のクラシック・フェスティバル。毎年一度、クラシックの名手たちが一堂に会して華麗かつ多彩なコンサートを繰り広げてきたが、第21回となる今年は、ピアノ誕生300年の記念行事として大作曲家が生み出してきた名作をたどる企画。ピアノができるまで鍵盤楽器の主流だったチェンバロの名曲に始まり、ピアノ・ソロ、連弾、2台のピアノと続き、終盤は5台のピアノによる華々しいステージが展開される。5台のピアノによる「ラプソディ・イン・ブルー」を当代きっての名手らが色彩豊かに描き出してこのフェスティバルを締めくくる。耳の肥えたクラシック・ファンはもちろん、クラシックは初心者という人にも気軽に楽しめる内容だ。
 第部 ソロ

スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K.490 同 K.492
・チェンバロ/曽根麻矢子
モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397
・ピアノ/青柳 晋
ベートーヴェン:ソナタ第8番「悲愴」第1楽章
・ピアノ/若林 顕
シューベルト:即興曲第3番 op142
・ピアノ/田部京子
ショパン:バラード第1番 ト短調
・ピアノ/迫 昭嘉
シューマン:アラベスク ハ長調
・ピアノ/伊藤 恵
ラフマニノフ:前奏曲 op23-6 op23-2
・ピアノ/清水和音
 第部 連弾-台ピアノ-台ピアノ
ブラームス:大学祝典序曲
・ピアノ連弾/ ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)
ドビュッシー・ラヴェル編:牧神の午後への前奏曲
・ピアノ連弾/伊藤 恵&青柳 晋
ラヴェル:ラ・ヴァルス
・ピアノ2台/若林 顕&菊地裕介
リスト・菊地裕介編:5台ピアノによる「ラ・カンパネラ」
・ピアノ5台/青柳 晋 菊地裕介 白水芳枝 藤井隆史 松本 愛
ビゼー・菊地裕介編:「カルメン」による5台ピアノのファンタジー
・ピアノ5台/青柳 晋 菊地裕介 白水芳枝 藤井隆史 松本
ガーシュイン/森山智宏編:5台ピアノの「ラプソディ・イン・ブルー」
・ピアノ5台/迫 昭嘉 伊藤 恵 清水和音 田部京子 若林 顕

 この連盟には3,400人余の音楽家が加盟し、そのうちピアニストはざっと1,100人。著名な演奏家のほとんどが加盟しているといってよい。出演者には曽根麻矢子、伊藤 恵、清水和音、迫 昭嘉、田部京子、若林 顕、青柳 晋などのヴェテラン勢に加え、ピアノデュオ ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)、菊地裕介、松本 愛など、次代を担う気鋭のピアニストたちを揃えた。
 5台ピアノ曲の編曲には、新進ピアニストでもある菊地裕介と東京混声合唱団からの委嘱などで注目されている森山智宏が起用されている。
http://www.jfm.or.jp/concert/classic.htm
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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2009年3月22日 (日)

ムシカ・ポエティカ特別演奏会
鳴り響く春2009《楽人の戯れ》
シューベルト&ブラームス
4/17(金)pm7:00090417
武蔵野文化会館
ARTE 小ホール

 我が家の近くの武蔵野ARTEで見慣れぬチラシを手にした。「ムシカ・ポエティカ」は、17世紀シュッツ(1585-1672)の作品を中心に据え、ヨーロッパの中世から現代音楽に至る道筋を研究し、演奏している音楽グループ。「Musica poetica」とは「音楽詩学」「音楽創作学」などと訳されるラテン語で、簡単にいうと「作曲」、なのだそうだ。
 ヴェネツィアのジョヴァンニ・ガブリエリの許で巨匠たちの、ラテン語のテキストによる対位法を徹底的に学んだシュッツが、帰国後ルターのドイツ語訳聖書を前に「この全巻を音に」という意欲をかき立てられ、生涯をその創作に捧げたという。その結果、これがドイツ語によるモテットの礎となり、北ドイツのプロテスタント音楽を担った人々に受け継がれ、バッハはもとよりメンデルスゾーン、ブラームス、レーガーらを経て20世紀に至る強靭な流れを生み出したのだという。
 これが、「ムシカ・ポエティカ」がシュッツに拘る由縁だ。
 今回の演奏会は、メンデルスゾーン生誕200年記念とペルトの《受難楽の夕べ》(3/27・東京カテドラル聖マリア大聖堂)、メンデルスゾーンとシュッツの《復活祭の音楽》(4/12・本郷教会礼拝堂)に続く春の三題目。全3回でシュッツからメンデルスゾーン、シューベルト、ブラームスそして1935年生まれのペルトまで、ドイツの音楽を見通すことになる。前二題については彼らのHPでご覧ください。
 この第3回の公演は、「今まで傾きがちであった“秘曲”ではなく、よりポピュラーでしかも“何度でも聴きたい”傑作を集めた」と代表の淡野弓子さん。“音・楽しよう”という“Music a la Carte”の意に通じるではないか!
 シューベルトは、ソプラノ・クラリネット・ピアノによる「岩上の牧人」、バリトンによる歌曲「ガニュメード」と「夜と夢」、テノールによる歌曲「さすらい人」と「ミューズの子」、それに「夜曲」。
 ブラームスは、クラリネット・ソナタと混声四重唱の「愛のワルツ集」全18曲。
 出演者についてなど、詳細はHPでご覧ください。
http://www.musicapoetica.jp/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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2009年3月13日 (金)

下野/読売日響『日本音楽史の栄光』
4/7(火)pm7:00
サントリーホール090407

指揮:下野 竜也
男声合唱:東京混声合唱団

芥川也寸志(没後20年)
エローラ交響曲
藤倉 大
読売日響委嘱作品(世界初演)
黛 敏郎(生誕80年)
涅槃交響曲

 正指揮者・下野竜也が新シーズン開幕公演に編んだのは、日本の音楽史を代表する傑作だ。
 黛、芥川は團伊玖磨と創作グループ「3人の会」を結成して新作発表会を重ね、戦後音楽史を牽引した。今回の<エローラ交響曲>と<涅槃交響曲>はどちらも、第3回「3人の会」公演(1958年)で初演された。
 エローラ交響曲は、芥川がインドの巨大なエローラ石窟寺院に感動して作曲したとされる。
 涅槃交響曲は、ステージのほかに客席後方の左右にも配置された合計3つのグループの管弦楽と男声合唱団で演奏される6楽章建ての作品。それまで電子音楽など前衛音楽の旗手だった黛が、「梵鐘の音の前には、どんな音楽も叶わない」と、鐘の唸りをオーケストラで現そうと挑んだ。 
 ヨーロッパで高い評価を受けている藤倉大の新作初演も見逃せない。77年大阪生まれの藤倉は15歳でイギリスに留学し、98年、セロツキ国際作曲コンクールで最年少優勝したのを皮切りに相次いで受賞し、世界各地の楽団から作品が委嘱されている。
 日本の音楽史を振り返りながら、同時に新たな芽にも目を向ける下野。日本の音楽史上に残る、希有な一夜になりそうだ。
[下野シート・第5弾]
 読売日響正指揮者・下野竜也氏が、「音楽を学んで行く過程で、ナマの良い音楽に接する事が一番の勉強になった」という自らの経験から、作曲や指揮、オーケストラを学んでいる大学・大学院生をはじめ、これから音楽を目指そうと考えている高校生など学生を下野氏が自ら招待する。 
 また、それに先立つ会場練習の見学ができ、見学終了後、下野氏や作曲家・藤倉大氏との質疑応答の時間もある。
*日時:4月7日(火) 集合午後3時
会場練習:午後3時30分~午後5時30分
申込み:官製はがきに住所、氏名、電話番号、学校名(専攻科)、学年を明記。締切3月25日(消印有効)

http://yomikyo.or.jp/2008/10/481-1.php#shimonoseat
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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2009年3月11日 (水)

北條陽子 小林倫子 岩村力
「コンチェルト」~協奏曲の夕べ~
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
4/13(月)
pm7:00090413
紀尾井ホール

 昨春、ロシア音楽のレクチャーコンサートで粒立ちの良い軽妙な演奏を聴かせてくれた北條陽子さんは、ゲオルク・ペレーツィスを、母国ラトビアで弾いた恐らく初めての日本人ピアニストだろう。その彼女が、本邦初演となるベレーティスのピアノ協奏曲を弾く。これはただごとではない。
 今回の「ピアノと室内管弦楽のためのコンチェルティーノ・ビアンコ」は、白鍵(ビアンコ)だけで弾く、急緩急の三楽章、15分ほどの小品だという。長調で、当然だが転調もない。「CDに収録されている組曲もそうだが、淡々とした親しみやすいメロディーの中に凝縮された音楽性が秘められている」と北條さん。
 ペレーツィスは1947年、バルト三国のひとつラトビアに生まれ、モスクワ音楽院でハチャトリアンに師事。「2006年、ラトビアでのリサイタルの際に、初めてお会いしましたが、チャイコフスキーのような風貌で、静謐な中に秘められた情熱が感じられる方でした」。そのリサイタルでペレーティスの曲が終わるやいなや、ウェーブが沸いたそうだ。ライブCDには熱狂する聴衆の感動まで収録されている。
 二曲目はシューマン協会メンバーの北條さんならではのピアノ協奏曲。1983年に大野和士指揮同じ楽団で一度弾いている。シューマンは、結婚の翌年の1841年、「ピアノとオーケストラのための幻想曲」を作曲した。その後、メンデルスゾーンの協奏曲に刺激され、この幻想曲を第1楽章とする三楽章の協奏曲を完成させた。「シューマン唯一のピアノ協奏曲で、独自のピアニズムを管弦楽と結びつけて、ロマン的な幻想性溢れるシューマネスクの世界が展開します」
 シューマンの躁も鬱も知り尽くした北條さんについては、下記の公式サイトで。ペレーツィスの組曲の一部を聞くこともできる。
http://music.geocities.jp/yokohojolatvia/index.html
 ヴァイオリニスト小林倫子さんについては、下記の公式サイトをご覧ください。
http://www.michikolondonviolin.com/
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番は好きな曲なので、とても楽しみだ。
 指揮者の岩村力氏は、一昨年まで7年間N響のアシスタントコンダクターを務め、現在フリーランス。彼については下記のHPでご覧いただけます。
http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/guestf/iwamura.htm
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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2009年3月10日 (火)

東京都響『作曲家の肖像』シリーズ

090404  今年度の都響は、芸劇シリーズの“作曲家の肖像”につき合うことにした。来年3月までの5公演のうち、何とベートーヴェンが3回、それにシベリウスとラヴェル。今年はじっくり楽聖ベートーヴェンとつき合ってみようと思う。その3回を、昨年4月プリンシパル・コンダクター(首席指揮者?)に就任したエリアフ・インバルが全て振るとあって外せない。そして、3回の前菜は、「コラリオン」、「レオノーレ」2番、「エグモント」と、楽聖の代表的な序曲。続いて、いずれの回もピアノ協奏曲と交響曲が組まれている。
 また、シベリウスのヴァイオリン協奏曲は私にとって因縁の演目だし、ラヴェルではデビュー当初からマークしていた下野竜也が「ボレロ」などを振る。
全公演とも、会場は池袋の東京芸術劇場。週末のマチネで、開演pm2:00

Vol.72ベートーヴェン4/4(土)
指揮:エリアフ・インバル
ピアノ:ゲルハルト・オピッツ
 
*序曲「コリオラン」op.62
*ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.19
*交響曲第3番「英雄」 変ホ長調 op.55
 いきなりインバルと、巨匠ピアニストのオピッツが登場する。この公演は既に残席少々だという。

Vol.73
シベリウス7/12(日)
指揮:ファブリス・ボロン
ヴァイオリン:ペク・ジュヤン

*交響詩「フィンランディア」 op.26
*ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
*組曲「レンミンカイネン」-4つの「カレワラ」伝説 op.22
 交響詩はシベリウスの十八番(おはこ)だが、作曲された当時、帝政ロシアの弾圧で、「フィンランディア」の曲名では演奏できなかったという。唯一のヴァイオリン協は超難曲のようで、丁寧に弾いただけでは面白くも何ともない。これが超絶技巧を感じさせない名手の手にかかると、突然、超名曲に変身する。私のその初体験は、小林美恵の飯森/東響公演。もう10年ほど前のことだが、感動モノの超名演だった。その後、記憶に刻まれているのは丁々発止のラクリン、次いで練達のクレーメルだ。今回のペク・ジュヤンが4人目になることを期待している。
 指揮のボロンはフランスの指揮者だそうで昨春、新日フィルに客演している。この時の演目はフランスものだったので、シベリウスは未知数だ。

Vol. 74
ベートーヴェン11/29(日)
指揮:エリアフ・インバル
ピアノ:青柳晋

*序曲「レオノーレ」 第2番 op.72a
*ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37
*交響曲第7番 イ長調 op.92

Vol.75
ラヴェル20101/31(日)
指揮:下野竜也
ヴァイオリン:松田理奈
ピアノ:横山幸雄

*組曲「クープランの墓」
*ツィガーヌ
*左手のためのピアノ協奏曲
*ボレロ
 3回のドイツ音楽にフランス音楽を1回の演奏会で対抗するために、印象派の中でも端正で明快なラヴェルを選らび、名実ともに今や中堅の下野と横山をぶつけた。ツィガーヌはチャールダッシュ風味なので、思い切って若手の松田にかけたと、主催者の弁。それに、下野の「ボレロ」は見もの。期待したい。

Vol.76
ベートーヴェン20103/14(日)
指揮:エリアフ・インバル
ピアノ:小菅優

*付随音楽「エグモント」序曲
*ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 変ホ長調 
*交響曲第5番「運命」 ハ短調 http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/by_series/list.php?series_code=4&series_year=2009
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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2009年3月 9日 (月)

3月(4日~8日)の秀演、三題
ベートーヴェン“英雄”、 “皇帝”、ブラームス第1番

 今月はまだ始まって1週間だが、名演、秀演が続出し、嬉しい悲鳴を上げている。
 今週は、3/4(水)の飯森範親/東響の都民芸術フェスティバルでスタートした。ノンビブラート奏法の端正なモーツァルト「戴冠式」とベートーヴェン「英雄」。しかし、アンコールの「フィガロの結婚・序曲」の秀逸な演奏にすべて上書きされてしまって、それ以前の演奏は消し飛んでしまった。
 翌3/5(木)は、近年、最悪の音楽会。地元武蔵野アルテの文字通り“安かろう悪かろう”のピアノリサイタル。美人ピアニストS.シッツが来日不能となり友人の青年がピンチヒッター。これがまったくの駄演。上手い下手は分からなくとも、音色の善し悪しは分かる。同じピアノがどうしてあんなに濁った粒立ちの悪い音になるのだろう。会場でシッツのCDを買ったが、我が家のスピーカーから響くピアノの音色のほうがずっと粒立ちがよい。桃源郷の今週、この日だけ地獄だった。
 3/6(金)は、大田区が新人を起用するプロジェクトそのⅣ「若きマエストロで聞くオーケストラシリーズ」。小山実稚恵が若きマエストロ海老原光指揮の都響をバックに弾く「皇帝」が目当てで出掛け、名に恥じない名演奏を聴くことがでした。のだが、休憩後はまたしても「英雄」で、それが輪をかけて見事な演奏。たゆたゆとしたテンポで少しもだれることなく、目をつぶって聞いたら巨匠の演奏に聞こえてくる。この秀演にさっきまでの「皇帝」は上書きされてしまって、「英雄」漬けのまま帰路につくことになった。海老原は1974年、鹿児島生まれというから下野竜也の後輩になる。
 翌3/7(土)はシュナイト/神奈川フィルのミューザ川崎公演。「珠玉の名旋律」と銘打って、今月音楽監督の任期が切れるシュナイトが、まずソロコンマスの石田泰尚と首席チェロ山本裕康とブラームスの二重協奏曲を演じ、休憩後は交響曲第1番。この日の席がほぼ真後ろで、オーボエやファゴットの背中が見える席だったためか、ソリスト二人の音量が不足気味で少々もの足りない。休憩後の交響曲1番は、シュナイトの十八番だけに文句なしの秀逸だった。
 翌3/8(日)も二日続きの川崎行。一昨年来、シューベルトのピアノ曲連続演奏会を催している今川映美子が「皇帝」を弾くという。東響の名曲全集で、開館当初は通ったがここ数年ご無沙汰していたシリーズだ。東響は、しなやかな演奏が特徴だが希にメリハリに欠ける。しかし、飯守泰次郎指揮のこの日は、しなやかにして起伏に富む品格ある響きを奏でた。大船に乗って、揺るぎない今川のピアノの音色の綺麗なこと。玉を転がすようなという比喩がピッタリの粒立ち。両手がまったく違う旋律を刻む様も手に取るように聞こえてくる。どんなに早いパセージもフォルテッシモも、僅かの濁りもない。LPレコード時代の演奏で云うと、グルダの華麗なライブ録音と端正なスタジオ録音、その両方を兼ね備えたような名演奏、それがライブで聴けたのだ。幸いなことに休憩後はワーグナーの管弦楽の名曲集と、まったく異質、しかも席が舞台上手の最上階。金管楽器群の華麗な響きを見おろして楽しんだが、先ほどの今川「皇帝」は上書きされることなく、芳醇な「皇帝」はいまもって健在だ。
 

 

2009年3月 6日 (金)

もぎぎのオーケストラ くわしっく鑑賞ガイド
ハイドン没後200年記念連続演奏会
ベートーヴェンが登場し
そして、ハイドンが去った。

三鷹市芸術文化センター 風のホール 公演090411

 NHK交響楽団首席オーボエ奏者の茂木大輔によるわかりやすい解説と在京オーケストラ若手メンバーで構成されるオーケストラの演奏、作曲家の生きていた当時の絵画や自筆譜などのスライドの上映で楽しむオーケストラ鑑賞シリーズ。今回の演奏会が、12年間の企画の最終回となる。
 今回のテーマは、イギリス映画「エロイカ」の最終場面で、ハイドンが「英雄」のリハーサル会場を訪れ、「明日から、すべてが変る」とつぶやきながら去っていく。この感動的な音楽史の一場面に象徴される19世紀初頭のウィーンの音楽事情をふたつのコンサートに託して再現する。

Vol.7 4/11(土)pm5:00
ベートーヴェン:ウィーンにおけるデビューコンサート
(1800年4月2日 ブルク劇場完全再現プログラム

*モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
*ハイドン/「天地創造」よりアリア、二重唱
*ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番、交響曲第1番 、七重奏曲、ほか

 ハイドンが2回目のロンドン演奏旅行(1794年)に出るまでの約1年間、彼の教えを受けていたベートーヴェン。そのベートーヴェンが29歳で初めて主催した演奏会のプログラムを再現する。
http://mitaka.jpn.org/ticket/0904110/

Vol.8 5/16(土)pm5:00
ハイドンの生涯と交響曲創作史
オラトリオ「天地創造」のアリア *オラトリオ「トビアの帰還」のアリア
*弦楽四重奏曲「皇帝」より *「ロプコヴィッツ四重奏曲」より
*交響曲第72番「第2ホルン信号」 *交響曲第26番「ラメンタチオーネ」
*交響曲第70番ニ長調 *交響曲第94番「驚愕」ほか

(以上予定:曲順はハイドンの生涯の年次に準じる)
 ハイドン没後200年を記念し、ハイドンの生涯とその創作の歴史を、資料を用いて作品の演奏と共に紹介する。
http://mitaka.jpn.org/ticket/0905160/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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松本紘佳 ヴァイオリン リサイタル
4/12(日)pm7:00090412vn
津田ホール

 今回ピアノで共演する母親(旧姓・福島有理江)の仕事でブダペストに滞在していた頃、1歳の赤ん坊はピアノの下をはい回っていた。4歳の誕生日前、ヴァイオリンを与えたところ、お気に入りのおもちゃのようになってしまった…以下のようなメールをまず母上からいただいた。
 …その日以来、どこに行くにもヴァイオリンを持っていく毎日、娘にとってかけがえのないものとなりました。幼稚園の時、私のハンガリーでの師が来日、我が家に滞在した折り、娘のヴァイオリンの伴奏をしたり、指導して下さったり、6歳の時に我々がハンガリーを訪ねた時には、素晴らしい先生方が演奏を聴いて認めて下さったりと、娘にとってハンガリーで受けた影響は大変大きいと思います。私自身、娘を育てていく上で多くのアドヴァイスをいただきました…。
 8歳で初リサイタル。「ブダペストでの演奏会の機会をいただき、9歳以降度々、リサイタルをすることになりました。このように評価して下さる方が増え、昨年のリスト室内オーケストラとの共演に結びつきました」…世に云う天才少女の誕生ではなかろうか?
 既にオーケストラのと共演も多い。パガニーニの協奏曲1番(ジャパン・シンフォニア)、サン・サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」(神フィル)、「ヴァイオリン協奏曲3番」(東響)、そして、ハンガリーでのヴィヴァルディ「四季」(リスト室内管弦楽団)だ。
 今回の演目について問うたら、学校から帰ってきた中学1年の紘佳さんからメールが届いた。以下、原文のまま…
 こんばんは。はじめまして。松本紘佳です。
 今、特に弾きたいと思った曲を中心にプログラムを考えました。グリーグのソナタ第3番は情熱的で、また北欧の美しい自然や透明な空気を感じる作品で大好きな曲です。前半はこのグリーグと温かくて素朴なシューベルト。
 後半は弾いてると自分自身が曲になった様に感じるショーソンのポエム、そして、この曲はイザイに捧げられているのでイザイのソロソナタ第6番を入れました。プログラムの最後は華やかなヴィエニャフスキーのファウストの主題による幻想曲です。この曲はヴィエニャフスキー国際コンクールでも弾いた思い出の曲です。
 どの曲も心を込めて一生懸命演奏します。聴いていただけることを楽しみにしています。
http://w1.onlineticket.jp/kajimoto/main.jsp
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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2009年3月 4日 (水)

オペラ彩 『オテッロ』
3/14・15:和光市民文化センター サンゼリア
韓国のニューフェースを迎え、稽古たけなわ

 地下鉄副都心線が開通し渋谷からでも25分、池袋からなら急行・準急で僅か13分。グッと都心が近くなった注目の和光市で、オペラ公演一筋に苦節25年。多くの新人を発掘、世に出したオペラ彩が、今年またひとつ注目に値する催しを打つ。昨年の“マダム・バタフライ国際コンクールin長崎”で優勝した大物のテノール歌手キム・ジョンキュをオテッロ役に抜擢したのだ。みぞれ舞う3/3、キムが稽古に加わると聞いて駆けつけた。この日は二日目組の稽古だった。
At1020404_3 画面右からオテッロ役のキム、デズデーモナの出口正子、エミーリアの巖渕真理、左端ハンカチを持っているのはヤーゴの須藤慎吾。背中は演出の直井研二と制作責任者の和田タカ子。
At1020394_2 藤原歌劇団の出口は、1987年「ルチア」でデビューというオペラ歴20年以上のベテラン。以来、ヴィオレッタは10回以上、リュー、ジルダ、ミカエラなど、文字通り百戦錬磨。デズデーモナ役は新国主催の2003年以来6年ぶり。キムは、「ルチア」のエドガルドでオペラ・デビューを果たし、「ルイザミラー」、「トスカ」などに出演している。今年「第55回プッチーニ・フェスティバル」に出演が決まっている。この日の稽古でも、本気で歌った時の艶を保ったままの力強いフォルテには思わず聴き入ってしまう。 At1020410
 ハンカチを手にしている巖渕は2001年の新国オペラ研修所の第1期修了生。研修所公演では、フィオルディリージ、ドンナ・エルヴィラなどを演じ、イタリア・ジェノヴァへ留学し、ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ劇場で、「コシ・ファン・トゥッテ」(ドラベッラ役全6回)などに出演。オペラ彩へは昨年の「ナブッコ」に続いての出演。「修道女アンジェリカ」の公爵夫人など個性的な役も演じている。須藤は、留学先イタリアで既にヤーゴ役を3回、帰国後も国内で経験済み。タイトルロールを支える共演者の布陣は万全だ。
 初日組は、オテッロ大野徹也、デズデーモナ大隅智佳子、ヤーゴ谷友博、エミーリア河野めぐみ。大隅は、昨春、東京藝大の修士課程を修了したばかりだが、呼び声高い楽しみな新人だ。
http://opera-sai.jp/
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