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2009年3月 9日 (月)

3月(4日~8日)の秀演、三題
ベートーヴェン“英雄”、 “皇帝”、ブラームス第1番

 今月はまだ始まって1週間だが、名演、秀演が続出し、嬉しい悲鳴を上げている。
 今週は、3/4(水)の飯森範親/東響の都民芸術フェスティバルでスタートした。ノンビブラート奏法の端正なモーツァルト「戴冠式」とベートーヴェン「英雄」。しかし、アンコールの「フィガロの結婚・序曲」の秀逸な演奏にすべて上書きされてしまって、それ以前の演奏は消し飛んでしまった。
 翌3/5(木)は、近年、最悪の音楽会。地元武蔵野アルテの文字通り“安かろう悪かろう”のピアノリサイタル。美人ピアニストS.シッツが来日不能となり友人の青年がピンチヒッター。これがまったくの駄演。上手い下手は分からなくとも、音色の善し悪しは分かる。同じピアノがどうしてあんなに濁った粒立ちの悪い音になるのだろう。会場でシッツのCDを買ったが、我が家のスピーカーから響くピアノの音色のほうがずっと粒立ちがよい。桃源郷の今週、この日だけ地獄だった。
 3/6(金)は、大田区が新人を起用するプロジェクトそのⅣ「若きマエストロで聞くオーケストラシリーズ」。小山実稚恵が若きマエストロ海老原光指揮の都響をバックに弾く「皇帝」が目当てで出掛け、名に恥じない名演奏を聴くことがでした。のだが、休憩後はまたしても「英雄」で、それが輪をかけて見事な演奏。たゆたゆとしたテンポで少しもだれることなく、目をつぶって聞いたら巨匠の演奏に聞こえてくる。この秀演にさっきまでの「皇帝」は上書きされてしまって、「英雄」漬けのまま帰路につくことになった。海老原は1974年、鹿児島生まれというから下野竜也の後輩になる。
 翌3/7(土)はシュナイト/神奈川フィルのミューザ川崎公演。「珠玉の名旋律」と銘打って、今月音楽監督の任期が切れるシュナイトが、まずソロコンマスの石田泰尚と首席チェロ山本裕康とブラームスの二重協奏曲を演じ、休憩後は交響曲第1番。この日の席がほぼ真後ろで、オーボエやファゴットの背中が見える席だったためか、ソリスト二人の音量が不足気味で少々もの足りない。休憩後の交響曲1番は、シュナイトの十八番だけに文句なしの秀逸だった。
 翌3/8(日)も二日続きの川崎行。一昨年来、シューベルトのピアノ曲連続演奏会を催している今川映美子が「皇帝」を弾くという。東響の名曲全集で、開館当初は通ったがここ数年ご無沙汰していたシリーズだ。東響は、しなやかな演奏が特徴だが希にメリハリに欠ける。しかし、飯守泰次郎指揮のこの日は、しなやかにして起伏に富む品格ある響きを奏でた。大船に乗って、揺るぎない今川のピアノの音色の綺麗なこと。玉を転がすようなという比喩がピッタリの粒立ち。両手がまったく違う旋律を刻む様も手に取るように聞こえてくる。どんなに早いパセージもフォルテッシモも、僅かの濁りもない。LPレコード時代の演奏で云うと、グルダの華麗なライブ録音と端正なスタジオ録音、その両方を兼ね備えたような名演奏、それがライブで聴けたのだ。幸いなことに休憩後はワーグナーの管弦楽の名曲集と、まったく異質、しかも席が舞台上手の最上階。金管楽器群の華麗な響きを見おろして楽しんだが、先ほどの今川「皇帝」は上書きされることなく、芳醇な「皇帝」はいまもって健在だ。
 

 

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