無料ブログはココログ

« | トップページ | »

2010年1月 7日 (木)

日本管弦楽の名曲とその源流-9・10
東京都交響楽団 1月 定期演奏会

 都響は、ここ20年以上にわたって、1月の定期演奏会を邦人の作品を中心に現代の創作でプログラムを組んでいる。1987年に《日本の作曲家シリーズ》でスタートし、2006年からは作曲家別宮貞雄の企画で《日本管弦楽の名曲とその源流》と題して進めている。これまで毎年この企画を知りながら、定期演奏会のシリーズ会員になって否応なく一昨年の正月公演を聞くまで、横目で通り過ぎてきた。が、企画に目を通すと、日本の近代音楽界を実に丁寧にフォローしていることがわかる。
 今回の公演、ひとつは、明治百年の「1968年」がキーワード。江戸を東京と改称して百年…都響にも無縁ではない野田暉行。そして、もうひとつのテーマは<和 洋の出会い>。

《日本管弦楽の名曲とその源流-9》
野田の代表的2作とブリテン、ベルク
-爛熟と幻想の音楽の奥行へ100121

1/21(木)pm7:00
東京文化会館

指揮:井上道義
ピアノ:岡田博美
ソプラノ:天羽明惠
・野田暉行:コラール交響曲
・野田暉行:ピアノ協奏曲
・ブリテン:
 シンフォニア・ダ・レクイエム
・ベルク:
 
歌劇「ルル」からの交響的小品(ルル組曲)

 東京百年祭を祝うにあたって、都はオーケストラ作品の祝典曲を募集した。その優勝曲が今回の野田暉行作曲「コラール交響曲」。設立3年目の都響が初演した。40年生まれの野田は未だ20代の若手だったが、既に日フィルの委嘱で巨大な交響曲をものしていた。「日本やアジアよりヨーロッパに憧れた」と評論家片山杜秀がいう野田らしい‘コラール’交響曲。
 もう1曲の「ピアノ協奏曲」はその9年後の作だが、NHKのFM放送芸術祭で初演され、優秀賞や尾高賞を得て、彼の名を不動のものとした。「日本人がピアノという西洋近代を象徴する楽器を維新から109年目にして使いおおせた…焦げかけたシチューのように熾烈な名人芸」と片山。とくると、その共演者は岡田博美をおいて他にない。
 後半のブリテン「シンフォニア・ダ・レクイエム」は1940年の‘皇紀2600年’の祝典音楽として日本政府が委嘱した<鎮魂交響曲>。祝賀より慰霊に偏り、且つ大幅に締切に遅れ、翌年日英戦争に突入してしまったため、日本では戦後まで演奏されなかった。
 最後は野田が信奉していたベルク。片山は「みっしりと音が詰まり、官能と不安と狂気の幻想を煮立たせて煎じ詰めた<ルル>は、野田の源流に違いない」と結ぶ。

《日本管弦楽の名曲とその源流-10》
和 洋の出会い

1/26(火)pm7:00100126
サントリーホール

指揮:小泉和裕
尺八:坂田誠山*
筝:木村玲子**
・松平頼則:
    
「ダンス・サクレとダンス・フィナル」より
      
ダンス・サクレ(振鉾)
・廣瀬量平:
  尺八と管弦楽のための「協奏曲」
*
・三木稔:管弦楽のための「春秋の譜」
・ドナルド・ウォマック:
After
  尺八と二十絃箏のための協奏曲
(日本初演)
*/**
 
 「雅楽は西洋クラシック音楽と相性がよくないとされてきた。雅楽は即興的でリズムが曖昧だからという理由だったが、J.ケージやシュトックハウゼンは偶然や即興を重視するなど、雅楽と前衛音楽の美意識が急に重なった。すかさず雅楽風前衛音楽をものしたのが松平頼則だ」(片山)。「ダンス・サクレ」(=神聖な舞踏)は、雅楽で舞台の浄めのための振鉾(えんぶ)を元にした木管と打楽器だけの厳粛な音楽。(初演1957年)
 尺八も相性が悪いとされてきた。が、こちらにも西洋音楽がすり寄ってきた。文字通りの和洋折衷。その先端を行ったのが廣瀬量平だという。(初演76年)
 三木稔の管弦楽は、「初演された1980年当時、日本の伝統に強い興味を持ち、<乱拍子>と<急の舞>という能・歌舞伎囃子のパターンと私の身に付いた阿波踊りのリズムを引用した」と、作曲家自身がコメントを寄せている約20分の交響曲。三管編成で、急緩急の3楽章が続けて演奏される。
 「After」は、2001年2月9日、ハワイ・オワフ島沖で、米海軍の原子力潜水艦グリーンビルに衝突されて沈没した日本の実習船えひめ丸の9人の乗組員がなくなった“悲劇的な事件への追悼”として創られた。チラシ裏面にに作曲者D.ウォマックのコメントが載っている、「曲名の<After>は、事件後の体験を意味し、事件に巻き込まれた方々の感情の旅路を巡る…結局のところ、喪失と癒しという人間的な体験の、美しく、劇的な探求なのである」と。
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/by_month/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

« | トップページ | »

コメント

えひめ丸の鎮魂曲としてなら、それは多数あるのでしょうが、 シャンソン歌手の町田真理子さんのお歌いになる♪海よ鴎よ島々よーえひめ丸鎮魂歌 が好きです。明日は 伺えませんが、言葉の力は強いと思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« | トップページ | »