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2010年3月 8日 (月)

ドゥ・ビリー指揮ウィーン放送響
有終の美飾った来日公演
(3/7)

 「首席ドゥ・ビリー、任期の最後を飾る海外遠征」と題して1月13日に配信したベルトラン・ドゥ・ビリー指揮ウィーン放送交響楽団の来日公演。日本ツアーの最終日(3/7)は感動モノの演奏でした。演目は、十八番おはこの「エグモント」序曲、「田園」、「運命」。 
 ベートーヴェンの5番や6番はミミタコなのか、最近は演奏会で感動できなくなっていました。LPレコード時代の巨匠の名演奏に耳が慣れてしまって、それに匹敵する公演がないからでしょう。しかし、この日の演奏は、これまで聞いたどの演奏とも違っていました。これを秀演、秀逸な演奏というのだと思いました。
 演奏が始まると、あたかも何も書かれていない真っさらな五線譜に次々と音符が書き込まれ、楽譜ができあがっていくかのように、演奏がすすんでいくのです。ベートーヴェンの身体のなかから湧き上がってきた情念が五線譜を埋めていく…かのように演奏がすすんでいく。楽譜を見ながら演奏しているようには聞こえてこない。ベートーヴェンの想いが音になって空間に放出され、その音が次々と楽譜に書き込まれていく。
 オーボエを始め、管楽器奏者は旋律を奏でる時にはソリストを演じ、ハモル時にはアンサンブル奏者となって、一人二役をこなす。ピアニッシモで演じることができる金管奏者たち。木管と金管のデュエットの絶妙なバランス…
 どんな小さな音も必要な音はすべて粒立ちよく聞こえてくる。オーディオ装置ではとうてい聴き取れまい。ピアニッシモで奏でる旋律もアンサンブルに邪魔されることなく聞き取れる。ベートーヴェンの揺れ動く思いの丈をそのまま表現して、テンポは自在に揺れ動く。ベートーヴェンが伝えたかったことが音と化して私の体の中に吸い込まれていく。
 この日の公演は、2/20横浜を皮切りに南は岡山から新潟、長野などを回り、11公演目。来日ツアーの最終日だった。
 来日ツアー最終日でどうしても思い出してしまうのは、2006年秋に来日したアーノンクール指揮のウィーン・フィルだ。美味しそうに見える果物、割ったらスが入っていて中味はスカスカ。今日が天国ならこれは地獄だ。指揮者は虚しく腕を上げ下げしているが、文字通り「佛つくって魂入れず」の図。入場料が今日の公演のほぼ2倍とあって、腹の虫が治まらない。そのうえ、二日前の演奏が収録されていて後日TVで流れたが、それが瑞々しい美味の演奏だった。こんなふざけてことがあっていいのか…憤懣やるかたない。年が明けた翌07年、元旦のニューイヤー・コンサートがまさに同様のスカスカ公演だったので、聴く耳をお持ちの方はお分かりでしょうが。
 そう、忘れるところでした、ドゥ・ビリーは今月で音楽監督兼首席指揮者のポストを離れる。今回の日本ツアーは在任中最後の海外遠征ツアーなのだ。有終の美とはこのことだ。
ご静聴ありがとうございました。

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