無料ブログはココログ

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »

2010年4月28日 (水)

J・S・バッハ:ヨハネ受難曲
~ピリオド楽器使用/ピリオド唱法による~

5/29(土)・神奈川県立音楽堂
5/30(日)・一橋大学兼松講堂
プレトークpm2:15・開演pm3:00

テノール(福音史家)兼音楽監督:ジョン・エルウィス
指揮とラウテンクラヴィーア(リュートチェンバロ):渡邊順生
管弦楽 :ザ・バロックバンド
プレトーク:朝岡聡(5/29) ・礒山雅(5/30)100530_3


 4月20日に「ラウテンクラヴィーアって、ご存知でしたか?」と題してご紹介した「CD:山田貢 バッハとラウテンクラヴィーア」。http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-e426.html
 この渡邊順生氏の演奏会でラウテンクラヴィーアがチェンバロに代わって使われることが決まった。チラシには「指揮とチェンバロ:渡邊順生」とあるが、渡邊氏はラウテンクラヴィーアを弾くことにしたのだ。
 ヨーロッパの古楽声楽界の第一人者で、バッハ声楽作品の福音史家のスペシャリストでもある英国のテノール、ジョン・エルウィスと、日本古楽器演奏家の第一人者渡邊順生とのコラボレーション。「今日における最もホットなバッハ演奏を作り上げようとする試み」と主催者。
 エルウィスは、その深い歌詞(と音楽の結びつき)の理解に基づく彫琢に富む歌唱では並ぶ者のない実力者であると同時に、数多の来日の期に、類い稀なる指導力の持ち主であることを実証してきた。今回の公演では、単に福音史家のパートを担当するのみならず、音楽監督として徹底した声楽陣の指導に当たる。これまでも、エルウィスと渡邊は、共同音楽監督として、モンテヴェルディの《オルフェオ》、《聖母マリアの夕べの祈り》などで充実した公演を作り上げてきたが、今回の方式は、そうした実績を踏まえたものだという。
 《ヨハネ受難曲》は《マタイ受難曲》と並び称せられるバッハの代表的傑作で、共に、イエス・キリストの受難の物語を音楽で描いているが、抒情的な《マタイ》に対し、《ヨハネ》では迫真の劇的ドラマが展開する。
 いきなりイエスが捕われる場面で始まり、裁判、ペトロの否認、血を求めて騒ぐ群衆、十字架にかけられるイエス、人々の悲しみと埋葬…。これらが単なる悲劇としてではなく、イエスによる「救済」の成就として描かれ、苦しんでいる人、悲しみのために心に傷を負った全ての人々に、慰めと安らぎを与えることによって、力づけ、生きる勇気を与える音楽となっている。
「その美しさ、浄らかさ、そして声と器楽の絶妙な組合せによる多彩な響きは、ピリオド楽器とピリオド唱法による透明な響きならではのもので、3世紀にわたる時空を超えて、皆さまを魅了するに違いありません」
主催
5/30公演:ボランティアチーム如水コンサート企画

問合せ:コンセール・プルミエ042-662-6203
http://www.kunitachi-gakki.co.jp/concert/archives/003783.html
5/29公演:山手プロムナードコンサート
問合せ:
オフィスアルシュ03-3565-6771

http://www.yamatepc.com/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月27日 (火)

4月のオーケストラ、天と地
ポシュナー、ジャッド、聖響

 指揮者によって同じオーケストラが良くも悪くもなる。当たり前のように、よく云われることだが、実際にこれほどの違いがあるとは思ってもいなかった。
4月の都響公演。
 11日サントリーホール公演を指揮したマーカス・ポシュナーと22日東京文化会館のジェームス・ジャッド(彼は15日公演も振っている)。
 ポシュナーの11日公演、のっけのハイドン交響曲第2番は、たわわにしなる上半身のしなやかな身振りと出てくる音が渾然一体となって、あたかも彼の体内から醸しだされる泉の如く音が湧きいでる。
 遅れてきた聴衆が可哀想。10数分のバーンスタインの小品を先に済ませて欲しかった。
 休憩後のブラームスの4番も秀演だったが、この曲の名演奏はこれまでにも経験済みだが、ハイドンの名演奏はめったに聴けない。どの曲もみな同じに聞こえてしまうことが多い。しかし、この日の第92番『オックスフォード』は、あたかも霧が晴れたような、でもただ明るいというだけではない、しなやかで且つメリハリのある響きで奏でられた。メガネの曇りを取り去ったら視界が開けたといったほうが分かりやすいだろうか。
 ハイドンで思い出すのは、かつて新日フィルと取り組んでいたゲルハルト・ボッセだ。彼は当時、「ヴァイオリニストとしてはベテランだけれど指揮者としては新米だから、これからも精進します。ハイドンはライフワークです」と謙虚に語っていた。
 今回のポシュナーは、プロフィールを見るとウイーン古典派を得意とする、“21世紀のしなやかなドイツ魂”といえるかもしれない。
http://www.pacific-concert.co.jp/CL02_2/detail.php?no=085
 22日ジェームス・ジャッドも同じ招聘事務所で、プロフィールを見ると歴戦の名手だ。
http://www.pacific-concert.co.jp/CL02_2/detail.php?no=024
 しかし、22日の公演はいただけない。モーツァルトのピアノ協17番の相沢吏江子は粒立ちのよい音色で透明感があり、指揮のジャッドと曲想を共有し彷彿とさせるものがあった。が、休憩後のエルガーは、鳴りっぱなし。フォルテとフォルテッシモしかない。しかも、トヨタの乗用車モドキ…タイムラグが頻発し、アクセルを踏んでもすぐに加速せず。オケが遅れがちになる。(ブレーキはほとんど踏まなかったので、その反応の遅れは確認できず)
 私もですが、ホール内を見渡すと、うたた寝、退屈してキョロキョロする人があちこちに。…私の右隣の紳士はエルガーの間、ずーと、プログラムのページを繰っており、左隣のご婦人は、退屈しのぎにチラシの束を選別されておりました。
 更に間の悪いことに、終演直後というより、その直前、まだ指揮棒が上がったままなのに、ブラボーの罵声。白けることこのうえない。こうした輩は、音楽を全く聞いていないで、只ひたすら演奏が終わるのを今か今かと、「ブラボー」するために、ひたすら待っている、としか思えない。
 サイモン・ラトルがウィーン・フィルを率いて来日した際に雑誌のインタビューに答えていた「指揮者の仕事…」を思い出す。
 フォルテッシモは皆が精一杯に頑張って弾けばいつでも実現できるし、その上限は自ずと決まってくる。しかし、ピアニッシモは、限りなくゼロに近づけるのだから、限界がない。このピアニッシモのでき如何で、オーケストラのダイナミックレンジが決まる。「如何に綺麗でささくれず、しなやかなピアニッシモを演ずるか。これが指揮者の仕事です」
 このラトル張りの演奏をやってのけたのが、23日横浜みなとみらいホールの金聖響/神奈川フィルのマーラー第3番だ。世界最長の交響曲と云われ、演奏時間は100分近い。楽団員が丸見えの2階席で聴いた。
 冒頭の大太鼓。バチを打つ腕が全く動いているように見えないので、どこで鳴っているのか目を凝らすほどのピアピアニッシモ。大太鼓と云えば祭囃子のようにドスンドスンと叩くものだと思ったら大間違い。耳を澄まさないと聞こえてこない微かなピアピアニッシモ。その後の管楽器もめいっぱい吹くのはほんの一瞬。7、8割は抑えて吹いている。
 フルートやオーボエとコンマスのデュオ、アルトとコンマスのデュオ。これらはピアニッシモのバックに支えられてピアノかメゾピアノで演じられる。
 フルートとオーボエの二重奏は、あたかも“フルボエ”という楽器の音色。フルートとクラリネットのデュオはさしずめ“フルリネット”?…2つの楽器がブレンドして第三の音色を奏でるのだ。これぞアンサンブルの極致!
 このマーラーの第3番は、つい3週間ほど前に、サントリーホールでインバル/都響の公演も聴いている。これまた凄い熱演だった。が、1階席だったので、管楽器など楽団の中ほどの奏者を目にすることが出来なかった。せっかくのライブ公演、やはり楽団員を見おろす2階席が好ましい。

.

2010年4月25日 (日)

ジャンルー・シーフ写真展
Jeanloup Sieff “UNSEEN & Best works
3/27~5/161003270516
東京都写真美術館

 朝日新聞社で『アサヒカメラ』の編集者だったとき、お世話になった写真エイジェンシーから、見てくださいとHPのURLが届いた。
 映像を扱う業界のHPは圧巻だ。日頃、音楽関係の情報しか見ていない輩には目の保養以上のものがある。
 何しろ、全頁にわたって黒バック、モノ・トーンを基調に構成されていて、そのページ建ても見事だ。
http://jeanloupsieff-gip.com/
 思いが1980年代に遡った。‘海外写真事情’というニュース・ページを担当していたとき、欧州の写真事情を寄稿してくださっていた当時パリ在住の倉持和江さん。締切間際にブラッサイの訃報を何とか間に合わせようと、尽力してくださったことを思い出した。国際電話は交換台を通さないとかけられない時代だ。
 地元パリでは、写真家が文化人、知識人として報道されていることを伝えたい。新聞の一面トップ記事で報道されていることを伝えるために日刊紙を速達の国際小包で送ってくださた。中には写真集のカバーなども同封されていた。オリジナルのプリントを掲載するには切迫していて間に合わない、それに法外な掲載料が発生するのだが、出版物の表紙なら出典を明示するだけで載せることができると、配慮してくださったのだ。
 今回の『ジャンルー・シーフ写真展』は、“ジャンルー・シーフ逝って10年、遺族によって見直された未発表作品の公開と珠玉の名作”という催しだ。1950年代から2000年までの未発表作と代表作を白黒写真で構成。 ゼラチンシルバープリント(銀塩印画紙のプリント)約180点。
 上記のURLでご覧いただけば一目瞭然だが、写真界とご縁のない方に概要を少々。
 シーフは1933年パリ生まれ。1955年フランス『エル』誌の写真リポーターとしてデビューした。後年ニューヨークでも活躍したが活動の拠点はパリだった。前述のプラッサイとは先輩として親交があった。
 現役で活動中だったジャンルー・シーフの突然の訃報から10年、夫人のバルバラ(写真家でもありシーフのモデルも経験)を中心に未発表作品の見直しが行われた。何故未発表だったのか、後に発表する筈だったのか、選定について作家の領域にどこまで踏み込めるのか…、コンタクトシートやシーフのこだわったプリント表現など知られざる作品の興味はつきない。
「これらの作品は作家と共に歩んだ名プリンター、イヴ・ブレガンとトマ・コンザニによって蘇りました。ゼラチンシルバープリントの銀塩粒子、バライタ印画紙の微妙なトーンによる力強く格調高いシーフスタイルの表現はまさにモノクロ写真芸術なのです」
 そこには1950年代後半、青年シーフのマグナム所属時期に実力を見せたルポルタージュや1960年代前半ニューヨーク時代の『ハーパース・バザー』での仕事が多く見られる。この時期はシーフのもっとも活力に溢れたパワー全開期にあたるという。
 シーフ固有の力強い垂直画面と広角レンズの巧みな表現は変わらず、カメラも主としてクラッシクライカとニコン、ハッセルブラッドなど一貫してアナログで通した。
「シーフは常に反骨の精神を掲げ、最後まで自らを律し、それは彼の構図や表現の厳格さに現れています。しかし、その反面シーフはワインを愛し、気の利いた駄洒落を飛ばし相手を煙にまいては楽しみ、また一方で写真は“失われた時を求めて”いく、ノスタルジアの感慨を生涯抱いてもいました。1973年の日本における初めての個展以来今日に至るまで国内での展覧会は15回以上開催されました。いつも好評を得てきたのは、日本の根強いシーフファンの存在と、時代が経過しても何ら古臭さを感じない作品の魅力によるものといえるでしょう。本展は未発表作品を集大成したものですが、他に名作コーナーを設け人々の記憶に残る珠玉の代表作を加えて構成しています」
 1カ月半に及ぶロングランだ。是非、都合つけて見に行っていただきたい。「これまで写真とご縁のなかった方々も、この機会に是非ともモノクロ写真の素晴らしさを体験していただきたい」と倉持さん。
☆先着10名ご招待☆申込み:momma.yoshy@karkcity.ne.jp
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月24日 (土)

イェルク・デームス ピアノリサイタル
ロベルト・シューマン生誕(1810.6.8)200年によせて

5/15(土)pm2:00
光が丘美術館

都営大江戸線光が丘駅下車徒歩5分

・子供のためのアルバムop.68 補稿(デームス補稿)
  ごく小さい子供のために、お人形の子守歌、
  ゴンドラにて、かくれんぼ、鬼ごっこ100515pf
・子供のためのアルバム全43曲op.68
  第1部・幼い子供たちのために
  第2部・年上の子供たちのために
・子供の情景op.15

 80歳のバースデー・コンサートの感動が未だに忘れられないイェルク・デームス。82歳にして“シューマン生誕200年を寿ぐ”。
 光が丘美術館には、オーストリア建国1千年を記念して、12台だけ製作された特別なモデルのベーゼンドルファーがある。わが国には、ここにしかない。このピアノには、盟友のバドゥラ・スコダとともにデームスのサインが入っている。
 イェルク・デームスは、パウル・バドゥラ・スコダ、フリードリッヒ・グルダと並びウィーンの伝統を受け継ぐ巨匠として『ウィーンの三羽烏』といわれている。1928年オーストリア サンクトペルテンに生まれ、11歳からウィーン国立アカデミーで学ぶ。その後、Y.ナット、W.ギーゼキング、W.ケンプ、A.ミケランジェリ、I.フィッシャーのもとで研鑚を積む。14歳でウィーン楽友協会ブラームスザールにて楽壇にデビューを果たし、1956年ブゾーニ国際コンクールで第1位を受賞。以後、世界各地から招かれ、H.v.カラヤン、W.サヴァリッシュ、小澤征爾など著名人と演奏するとともに、ドイツリートの演奏にも優れ、D.フィッシャーディスカウ、E.シュヴァルツコプフ、E.アメリング、P.シュライアーらと共演をしている。シューマン、ドビュッシー全曲録音他多くの名盤を残し、数々の国際的な賞を受賞している。歴史的楽器の収集と研究にも情熱を注ぎ、その貴重な楽器での演奏、録音も行っている。ベートーヴェン生誕200年祭にはボンのベートーヴェンの生家で、ベートーヴェンの使用したハンマーフリュ-ゲルを演奏する栄誉を与えられた。また、ベートーヴェン自身が愛用し著名なピアニストが代々受け継いでいる、ベートーヴェンリングの現在の所有者でもある。また、彼の収集楽器のあるザルツカンマ-グートで、音楽家を育てている。このほか楽譜の編纂や著作にも携わり、「バッハ インベンションとシンフォニア」「演奏のよろこび」、スコダとの共著「ベートーヴェンのソナタ」などがある。自ら作曲活動も熱心に行い、高い評価を得ている。
主催・お問合せ:日墺文化協会Tel 03-3271-3966
http://www.j-austria.com
光が丘美術館:http://www.hikari-m-art.org/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

                           

2010年4月23日 (金)

13th ファイン・デュオ fine duo
ヴァイオリン:沼田園子
ピアノ:蓼沼明美

5/17(月)pm7:00
東京文化会館
小ホール

ストラビンスキー:デュオ・コンチェルタンテ(1932)
八村 義夫:
  ヴァイオリンとピアノのためのインプロヴィゼーション (1964)
シューマン:
  ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 作品105(1851)
ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ
  第9番 「クロイツェル」 作品47(1803)100517

 ファイン・デュオはまもなく結成から四半世紀を迎えようとしている。二人とも東京藝大を首席で卒業。同大学院修士課程修了(沼田は博士課程単位取得)。デュオ結成間もない1987年には、マリア・カナルス国際コンクール二重奏部門において第2位受賞。作品への深い共感と考え抜かれたアプローチ、奇をてらうことのない真摯なデュオは味わい深く聴く人の心を引きつける。特に邦人作品の解釈には定評があり、武満 徹や貴志康一、山田耕筰らを取り上げた3枚のCDは各界から非常に高い評価を受けている。
 「20世紀初頭ストラヴィンスキーが伝統に立ち戻ったように、混迷の21世紀初頭に生きる私たちも今一度“故きを温ね新しきを知る”、そんな演奏を目指して準備しております。」 第13回目となる肝心の今回のプログラムについて、選曲の経緯を沼田さんが語っている。
  19世紀初頭から20世紀半ばまでの時代を、ほぼ半世紀ごとに区切る4曲の個性的な作品で構成しました。
 まず、当時革新的な作曲家と呼ばれたストラヴィンスキーが「現代を陶冶する生きた力としての伝統」に立ち戻り、新古典主義様式で作曲した「デュオ・コンツェルタンテ(1932)」でコンサートの幕を開けます。続いて、鬼才と呼ばれながら若干46歳で夭折した八村義夫のたった1曲のヴァイオリンとピアノのための作品「インプロヴィゼイション(1964)」、これは彼にとっての初めての委嘱作品でした。そして、前半の最後には、今年、生誕200年をむかえたシューマンの「ヴァイオリン・ソナタ第1番(1851)」。これは̶ファイン・デュオのデビューリサイタルでも弾いた懐かしい曲です。
 プログラムの後半は、ベートーヴェンの作品のみならず、ヴァイオリン・ソナタの最高傑作である「第9番クロイツェル(1803)」で締めくくります。
 昨年収録したベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ集の3作目(第5番、第8番)を今月リリースの予定です。ベートーヴェンのソナタ全曲録音に向け、第9番と第10番を残すのみとなりました。
http://www.camerata.co.jp/J/concert/f_FINE_DUO.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月21日 (水)

成田達輝バイオリン・リサイタル
第189回毎日ゾリステン
~真摯なるヴィルトゥオーゾ~
6/30(水)pm7:00100630
王子ホール


シューマン:
 ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調
イザイ:無伴奏・ソナタ第1番
パガニーニ:イ・パルピティ
バッハ:シャコンヌ
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ第2番
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン

  「毎日ゾリステン」は、すぐれた音楽家を広く紹介することを目的にとして1963年に誕生したコンサートシリーズ。演奏家が独力で音楽会が開くことが困難であった時代に、志ある優秀な人々の活動を支援しようという趣旨で、当初は野村光一、平島正郎、伊奈一男の三氏が出演者の選定にあたり、これまでこのシリーズに出演者した人々の顔ぶれは、いずれも演奏家として、或いは日本の楽壇人として独自の地位を確立した錚々たる面々だ。
…主催の毎日新聞社は時事新報社が1932年に発足させた日本音楽コンクールを37年に引き継ぎ、以来、日華事変、太平洋戦争中も堅持、‘コンクール’を敵性語とされ、「音楽顕奨」の名称で続行したという逸話も残っている。 (http://oncon.mainichi-classic.jp/introduction.shtml)
 「毎日ゾリステン」は世界的ソリストが出演してきた伝統あるコンサートシリーズだが、この由緒あるコンクールの入賞者に場を与えるという趣旨もある。
  その第189回に登場するのは2009年の第78回日本音楽コンクール第2位に入賞した成田達輝。卓越したテクニックと繊細な音色と表現力で内外の注目を集める18歳のバイオリニストだ。今回の演目を見ると、とても10代の若者のリサイタルとは思えない。 
 成田達輝は1992年札幌市生まれ。3歳からヴァイオリンを始め、2006年第60回全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会第1位、都築音楽賞、兎束賞、東儀賞受賞に続いて、07年第5回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞受賞、08年には、財団法人ヤマハ音楽振興会の「ヤマハ音楽支援制度音楽支援」対象者となり、第29回霧島国際音楽祭大賞受賞、第52回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクール・セミファイナリスト、09年第78回日本音楽コンクール第2位、E・ナカミチ賞受賞、ほか国内コンクール入賞多数と破竹の勢い。次世代を担うヴァイオリニストとして将来を期待されている。
 これまでに沼尻竜典指揮・名古屋フィルハーモニー交響楽団、梅田俊明指揮・日本フィルハーモニー交響楽団及び東京フィルハーモニー交響楽団、飯森範親及び西本智実指揮・東京交響楽団、小林研一郎指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団と共演。
 10年3月東京都桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)卒業。現在、藤原浜雄(読売日響ソロ・コンマス)に師事している。
http://www.mainichi.co.jp/event/culture/000739.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

クァルテット・エクセルシオ 東京2題

 常設の弦楽四重奏団として活動の幅を全国に広げ、快進撃を続けているクァルテット・エクセルシオ。5月と6月に、東京でまったく違う演目で2公演が催される。 http://www.quartet-excelsior.jp/

100508紀尾井の室内楽vol.23
~フランスの薫り~

5/8(土)pm3:00・紀尾井ホール

・ドビュッシー:弦楽四重奏曲ト短調Op.10
・デュティユー:
 弦楽四重奏曲「夜はかくの如し」
・ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調

 エクセルシオのチェロ奏者・大友肇氏が“とびきり贅沢なフランス印象派のフルコース”と題してメッセージを寄せている。
 我々のここ数年の活動といえば、古典か、現代曲だ。その間を時々かすめたりもするが、なぜかきちんとどこかをとらえるということがなかった。
 古典作品では弦楽四重奏のアンサンブル基礎力への刺激や、そのレパートリーの豊富さが魅力だし、現代作品では未知なるものの探求という底知れない世界がある。たとえばハイドン作品の内声の職人芸的な技の研鑽、現代曲の一瞬でも気を緩めたら崩壊してしまいそうな集中力の限界に挑戦するという世界。
 そういったところからやってくると、印象派の世界は、なんだか非常に贅沢をしているような気分になる。これぞといった好きな遊びに興じる時間のよう。あるいは、めったに食べないおいしいフランス料理をいただいてしまうような…
 真ん中のデュティーユは、前衛的な手法ではあるけれどやっぱりドビュッシーやラヴェルの音楽を継いでいる。今回は、そんな仏作品のフルコースを存分に楽しんでいただきたい。
http://www.kioi-hall.or.jp/calendar/concert_h.html#100508

100613第19回 東京定期演奏会
6/13(日)pm2:00・東京文化会館

・モーツァルト:
 
弦楽四重奏曲 第5番 ヘ長調 K.158
・ヤナーチェク:
 弦楽四重奏曲 第1番「クロイツェルソナタ」
・ベートーヴェン:
 弦楽四重奏曲 第13番
変ロ長調 作品130

 「略称“エク”の弦楽四重奏への思いは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の深遠な世界に触れたい、この一点に集約される」と主催者。ベートーヴェンの演奏を軸に芸術的追及をおこなう場、それが,東京・札幌・京都での定期演奏会なのだという。
 つかんだと思ってはまた逃げられる、そんな難しさの典型であるモーツァルトで始めます。ヴィヴィットなモーツァルト演奏の“いま”に請うご期待。2曲目の「クロイツェル・ソナタ」はベートーヴェンならぬヤナーチェクの作。ベートーヴェンの「クロイチェル・ソナタ」に触発されてトルストイが小説を書き、その小説をモチーフに作曲されたという曲です。
 トリのベートーヴェンの作品130は、当初の最終章を「大フーガ」として独立させ、新たに最終章が作曲されたという曰く付きの名作です。
 彼らの定期演奏会に臨む姿勢には、常設の弦楽四重奏団としての自負が、ひしひしと感じられる。
http://www.millionconcert.co.jp/monthly2.html#_6
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月20日 (火)

ラウテンクラヴィーアって、ご存知でしたか?
   CD:「山田貢 バッハとラウテンクラヴィーア」
       ~失われた楽器を求めて~

Photo_2 今月新譜の表題のCDを聴いた。日頃、お薦めコンサートの案内に追われて、新譜のCDを紹介する機会を逸していたが、これは外せない。「歴史に残る快挙、演奏者自らの復元によるラウテンクラヴィーアの雅で幻想的なバッハの精華」と渡邊順生氏が賛辞を寄せている。
 チェンバロの響板にリュートの湾曲部を使いガット弦で弾く、バッハも愛したという幻の楽器“鍵盤付きリュート”を山田貢が10年かけて復元した。バロック・ファンなら一聴に値する一枚だ。
001  ジャケットの写真で見ると、鍵盤の色、白黒は今のピアノと同じだが、2段鍵盤でサイズはチェンバロに近い。でも、出てくる音はチェンバロとは大違い。真にリュートの音色だ。
 広く知られるチェンバロの弦は金属絃だが、ラウテンクラヴィーアの弦はリュートやバロック・ヴァイオリンと同じ、ガット絃を使っている。チェンバロとちがって、柔らかく、深みを湛えた、典雅ともいうべき音色なのだ。
 全く消滅してしまったこの18世紀の楽器を、歴史的文献をもとに演奏者山田貢氏が解析し、現代に蘇らせた。
 渡邊氏曰く。「若い頃のバッハは華やか好みのところがあり、チェンバロを“プライベート・オーケストラ”と見なして超絶技巧に走る傾向があった。…そのような境地を克服し、真の大作曲家の道を歩む契機となったのが、ラウテンクラヴィーアとの出会いだったと私は考えている…」(ライナー・ノーツより)
 CDの解説には、プログラムノーツに加えて、山田氏のラウテンクラヴィーアの設計諸元なども載っている。
 このCDには、この楽器の機能・音色に相応しい楽曲が収録されている。時空を超えて21世紀に奏でられる妙なる響きに、豊潤な時を過ごすことができる、逸品だ。S.L.ヴァイスは、バッハと同時代の“リュートのバッハ”とも称される大家だ。
・J.S.バッハ:
  小プレリュード ハ長調 BWV 924
  パルティータ(組曲) ハ短調 BWV 997
  プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV 998
  小プレリュード ハ短調 BWV 999
  組曲 ホ短調 BWV 996
・S.L.ヴァイス:ソナタ 嬰へ短調

 山田貢氏は、1959年、東京藝大楽理科卒後、オーストリー政府留学生としてウィーンとザルツブルグに学ぶ。指揮をG.ヴィンベルガー、H.シェルヘンに、チェンバロをI.アールグリムに師事。1962年、特別賞mit Auszeichungで演奏家資格を取得。バッハのチェンバロ曲全曲、協奏曲全曲の指揮と演奏、また東京バロック音楽協会や東京アカデミカーアンサンブル(ハルモニア室内オーケストラ)のメンバーとして多くの本邦初演に携わった。来日の演奏家たちと協演(ミュンヒンガー、ゴールウェイ、ランパル、ヴェンツインガー、ソフィアゾリステン、ソリスティ・ディ・ヴェネッティほか)欧州各地の音楽祭の出演するなど内外において多くの演奏歴をもつ。『クープランのクラヴサン奏法』などの翻訳・著作、歴史的チェンバロの研究、制作を手がける。この分野での大きな結実として専門書とともに歴史的復元をめざして製作したラウテンクラヴィーアがある。東京芸術大学と上野学園大学では30余年にわたり後進を教えた。岐阜聖徳学園大学・名誉教授。
発売元:ナミ・レコード 注文番号:WWWCC-7637
http://www.nami-records.co.jp/archive/20100325.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月19日 (月)

ウィーン・シェーンブルン宮殿劇場
シュトラウスⅡ『こうもり』来日公演

「美しき世界遺産」 “ウィーン夏の風物詩”遂に日本へ!

6/10(木)pm6:30100610
Bunkamura
オーチャードホール

 シェ-ンブルン宮殿はウィーン市内観光の目玉の一つだが、宮殿内に歌劇場があるのは知らなかった。見学コースには含まれていないのだ。
 建物は、あらゆる部屋を合計すると1,441室あり、両翼の端から端まで180mもある。歌劇場は正面右側翼にあるそうだ。市内のオペラがオフシーズンになる夏季にその歌劇場でオペラが催されているという。
 1762年、マリア・テレジアの娘のマリー・アントワネットがここに滞在している時、招待されて6歳の神童モーツァルトが訪れた。 この時宮殿内で転んだモーツァルトを、当時7歳のマリー・アントワネットが助け起こしたところ、モーツァルトが「僕と結婚して」とプロポーズしたという伝説の、あの宮殿だ。(宮殿については「ウィキペディア」参照)
 1996年、世界遺産に100610_3登録されたこの宮殿は、ハプスブルグ王朝の夏の離宮。その歌劇場の引っ越し公演が、初めて実現するのだ。オペレッタの分野では世界最高峰の評価を受け、ウィーンを代表する名歌手によって繰り広げられる舞台は、常に注目を集めているが、今回は決定版ともいうべき、“ワルツ王” J.シュトラウスⅡ世が残したウィンナ・オペレッタ黄金時代の最高傑作『こうもり』。これはもう、絶対に外せない。
 注目すべきは、もう一つある。ヒロインのロザリンデ役とひょうきんな女中のアデーレ役に注目が集まるオペレッタだが、通常メゾがズボン役で演ずるオルロフスキー公爵に、カウンターテナーのヨッヘン・コヴァルスキーを特別ゲストに迎える。現地で長年親しまれてきた演出をそのまま上演するというのだ。と云っても宮殿歌劇場の規模は日本国内の大ホールの半分ほどの広さなので、舞台装置の大道具類は引っ越し公演用に新規に誂えたという。その力の入れようは半端じゃない。
『こうもり』の概要は、以下のとおり。
ドイツ語上演・日本語字幕付。上演時間約3時間(休憩1回含む)
作曲:J.シュトラウス2世 (1825-1899)
原作:アンリ・メイヤックとリュドヴィク・アレヴィのフランス語の戯曲『レヴェイヨン』
台本:カール・ハフナー、リヒャルト・ジュネ
初演:1874年 アン・デア・ウィーン劇場

楽しいことも悔しいことも”すべてはシャンパンの泡のせい”
儚いからこそ美しい…19世紀ウィーンへタイムトラベル!!

 ハプスブルク王朝の栄華を今に伝える『ウィーン・シェーンブルン宮殿劇場』。21世紀の今日でもウィーンを代表する劇場の一つとして活動を続け、オペレッタでは世界最高峰の評価を受ける。特に夏のみ上演される『こうもり』は、この時期シーズンオフのウィーン国立歌劇場やフォルクスオーパーからの豪華キャストが顔を並べ、世界中のオペレッタ・ファンを魅了している。夏のウィーンでしか味わうことのできなかった夢の舞台が、遂に日本へやってくる。
 公演の詳細・注文は、主催プロアルテムジケのHPで。
http://www.proarte.co.jp/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月16日 (金)

小林愛実 14歳のショパン・リサイタル
サントリー大ホール、日本人ピアニスト最年少記録!
ショパン生誕200年記念、一夜で聴く ソロとコンチェルト
5/15(土)pm7:00・サントリーホール

[第1部 ソロ] スケルツォ 第1番 ロ短調 Op.20
           バラード 第1番 ト短調 Op.23

[第2部 コンチェルト] ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11
指揮:ミハウ・ドヴォジンスキ
管弦楽:ショパン祝祭オーケストラ in Tokyo100515

 小林愛実は今年2月、世界最古のレーベルEMIクラシックスからCDデビューし、一躍メジャー扱いとなったが、ピアノ界では2001年、5歳で世界最大規模の参加人数を誇るピティナ・ピアノコンペティションに参加し、以降4年連続で全国決勝大会進出して知られることとなった。6歳でC級(小6以下)、7歳でE級(中2以下)、8歳ではJr.G級(高1以下)の金賞受賞、並びに、ショパン国際ピアノコンクールinASIAアジア大会第1位という結果を出しているのだ。翌年には全日本学生音楽コンクール優勝と、過去の最年少記録を次々と塗り変えていった。そして今回、“サントリー大ホールでのリサイタル、日本人ピアニスト最年少記録”という訳だ。
 3歳でピアノを始め、ホロヴィッツやポリーニなど一流の演奏家のCDを浴びるように聴いて育ち、「誰のどんな演奏が好きか」が、幼少にして言えるほどだったという。8歳になったとき、ピティナのコンクールがきっかけで現在の師、二宮裕子に出会う。山口から東京へ、1人飛行機でレッスンに通う生活。12歳からは二宮先生宅と同じマンションに一家で転居し、エレベーターで通う生活に。自己流の演奏から、奏法の基礎、様式を学び直す道を選んだ。
 このころから、「小林愛実」の名前は全国に拡がり、「神童」「天才少女」と呼ばれるようになった。音楽関係者のみならず、新聞・テレビでの報道をはじめ、日経プレジデントファミリー誌の取材、子育て中の保護者まで広く、ピアノ界の注目を浴びてきた。YouTubeでの動画配信数は、全世界から現在総計400万ビューを超えるという。
 国内に先駆け、パリのサル・コルトーやニューヨークのカーネギーホールでのコンサート、モスクワでのコンチェルトなど、国際舞台でも知られるようになった、その演奏の模様はフランスのテレビ局からヨーロッパ全土へ放映され、大きな反響を呼んだ。その視聴者の1人からCD制作支援の申し出があり、今回、初レコーディングを体験することとなり、一方で、パリ、ロンドンなど複数のCD会社からオファーがあり、EMIとの専属契約に至ったという。
 CD収録曲は、バッハ、ベートーヴェン、ショパンだが、このコンサートは、表題のとおり、“オール・ショパン”。しかも、ソロ・リサイタルとコンチェルトの2部構成という、垂涎の催しだ。
http://www.to-on.com/artistpromotion/artists/aimi_kobayashi/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

2010年4月15日 (木)

アリエル・アッセルボーン ソロリサイタル
Ariel Asselborn  Solo Recital
「大地に眠る歌」-第八回サライ大賞受賞記念
6/5(土)pm2:00100605a_2
紀尾井ホール


友情出演:
大萩康司(ギター)

・アマポーラ(ラカジェ)
・リベルタンゴ(ピアソラ)
・夢で逢いましょう
  (永六輔/中村八大)
・死んだ男の残したものは
  (谷川俊太郎/武満徹)
・リベルタンゴ(ピアソラ)
・アルバム「大地に眠る歌」より
・花の咲いたところ、十一月の月
  (ブリグノネ/アッセルボーン)
・アリエル・アッセルボーン 新作ギター三部作(初演)

 ギター奏者、作曲家にして、歌手。シンガーソングライター、アリエル・アッセルボーン。彼のCDを聴いた。…いつものクラシック音楽とは別世界…。ヒーリング・ミュージックとか癒しの音楽というジャンルがあることは知っていたし、まさしくそれなのかもしれない。が、彼のCDは「ワールドミュージック・アルゼンチン」に分類されており、ギターがクラシカルなので「クラシック」として扱われることもあるという。しかし、私は真に癒されるのだ。…どう紹介したらいいのだろうか?
 …自分の表現能力の拙さをこれほど思い知らされたことはない。メディアに紹介されている識者の言葉も、彼の歌を聴くと、どこか虚しい。何語で歌っているのかも分からない、にもかかわらず彼の呟きが染み込んでくるのだ。
 CD「大地に眠る歌」が2009年秋、第八回サライ大賞を受賞。この日の公演は、その受賞記念リサイタルだという。CDは自作の曲だけだが、リサイタルでは、中村八大や武満徹の曲も歌い、ギターソロでピアソラも弾く。
…私はブエノスアイレスで今日まで続く夢の一歩を踏み出しました。今の自分は、10才の時に「日本に行きたい」と言ったことから始まりました。アルゼンチンは私にギターと歌を与えてくれました。そして、日本は私の音楽へ心の扉を開いてくれました。幾千の時を刻んできた日本の静寂を、音と旋律に込めたいと思っています…
 弾き語りというと、大抵はコードでリズムを刻み、ギターを伴奏に使う。しかし、アリエルのギターはソロのギタリストの演奏なのだ。ギター演奏だけで音楽が成立している。歌手アリエルとのデュオ・リサイタルというほうが正しい。主催者が“弾き歌い”という由縁はここにあるのだろう。
 アッセルボーンは、1976年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。幼い頃から南米の民族音楽に親しみ、10才より独学でギターと作曲を始める。1997年、コスキン音楽祭にて自作の歌が作曲部門で入賞、1998年、バラデロ・音楽コンクールにて、インストゥルメンタル部門び男性ヴォーカル部門で2部門で優勝。1999年から4年間ボリビア系グループ ロス・ライカスに所属、2度の日本公演と2枚のアルバムに参加。
 2003年より日本に拠点を移してギタリスト、作曲家、シンガーソングライターとして活動を開始。これまでに自作品を中心に2枚のソロアルバム「時には一輪の花を」「大地に眠る歌」を発表。歌曲の多くは詩人レイナルド J.ブリグノネとの共作によるもので、南米の大地、人々、原風景を伝えている。各アルバムは、新聞や各メディアで高い評価を得ている。2009年秋には、「大地に眠る歌」が第八回サライ大賞受賞。クラシックギターの技法をイルマ・コスタンソ、高田元太郎らに師事。コンサート活動のほか、ギター教授、大学や教育機関での講演など幅広く活動している。
主催・予約: オフィス・カルデナール Tel:0424-88-2687
http://arielasselborn.com/index.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月14日 (水)

小泉和裕とジェニファー・ギルバート
都響4月定期
Aシリーズ

5/26(水)pm7:00100526
東京文化会館

・ベルリオーズ:序曲「海賊」
・グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲
・ニールセン:交響曲第4番「不滅」

 なかなか名演奏に巡り会えないシベリウスのヴァイオリン協奏曲だが、昨秋、ジェニファー・ギルバートが大友/東響との共演で、久々に演じてくれた。そのJ.ギルバートがグラズノフの協奏曲を弾くというのだから、見逃せない。
 初めて聞くグラズノフ(1865-1936)だが、リムスキー=コルサコフに個人指導を受け、ロシア国民楽派とチャイコフスキー、双方の次世代という役を背負って活躍した。交響曲は大作曲家に相応しく第9番まで、ピアノ協奏曲は2曲、ヴァイオリン協奏曲はこのイ短調作品82だけ。大曲ではないが、「濃い抒情からきらきらと輝く色彩溢れる逸品」という。N.Yフィルの音楽監督アラン・ギルバートを兄にもつ、ジェニファーのほとばしる感性に期待がふくらむ。
 メイン・ディッシュはニールセンの交響曲第4番「不滅」。彼はグラズノフと同年のデンマーク人で、コペンハーゲンの音楽院でヴァイオリンを学び、当地の王立歌劇場の楽長として知られるようになり、後に交響曲を中心にデンマークを代表する作曲家となった。「不滅」は「消し難きもの」という意だそうで、第1次大戦の苛烈な状況下で列強の狭間で苦悩する祖国の思いが炸裂する傑作。4楽章建てだが、楽想的に関連しており、単一楽章の形だという。
 小泉和裕は1973年、第3回カラヤン国際指揮者コンクールに優勝し、その後、ベルリン・フィルの定期演奏会を振り、76年のウィーン・フィルは当時最年少などなど、輝かしい経歴はウィキペディアに詳しい。
 公演の詳細は、下記のHPでご覧ください。
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3342
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

.

2010年4月13日 (火)

テミルカーノフ/読響 チャイコフスキー 公演
5/15(土)pm2:00100515
東京芸術劇場

ヴァイオリン:ボリス・ベルキン
・チャイコフスキー:
  
ヴァイオリン協奏曲
  交響曲第5番

 1988年に亡くなったムラヴィンスキーの跡を継いで、レニングラード・フィル(現・サンクトペレルブルク・フィル)の芸術監督・首席指揮者を20年以上務めているユーリ・テミルカーノは今年72歳になる1938年生まれ。88年までの12年間はキーロフ劇場でやはり芸術監督兼首席指揮者を務めていたという。キーロフ劇場と云えば、現マリインスキー劇場。3年前にゲルギエフ追っかけ連中とオペラを見に行った歌劇場だ。ロシアは、未だに個人旅行をするのは“冒険”であることを思い知らされた。(劇場に近いホテルをと頼んだら歩いて40分。地下鉄は地下100メートルのホームまでエスカレーターで10数分、乗車時間は数分だが、下車後また10数分かけて地上に出て徒歩10数分。歩くのと変わらない! 道が混んでいるからタクシーは2時間前に頼まないと危ないと云われた! 歩くしかないのだ。)
 思わず脱線したが、ついでにもう一つ。私、どうしたご縁か、何とムラヴィンスキー/レニングラード・フィルの来日公演でチャイコフスキーを聴いている。演奏旅行で頻繁に今回の第5番を演奏していたというから、その日の演目は覚えていないが、5番だったかもしれない。覚えているのは、その日、鳴りっぱなしの耳を覆う大音響に曝されたことだ。以来チャイコフスキーが嫌いになってしまったというトンデモ公演だった。
 もちろんそのトラウマは、その後、スクロヴァチェフスキ/読響の「悲愴」など日本のオーケストラで治癒しているが…
 さて、本題に入ろう。ロシア音楽に限らず幅広いレパートリーをもつテミルカーノフだが、今回は上記のご縁で、チャイコフスキー公演を選んだ。
 ヴァイオリンのペルキンは、1948年生まれでモスクワ音楽院在学中から注目されていたが、74年イスラエルに移住してから国際的に活躍する名手として広く知られるようになった。ロイヤル・フィルとのCDは定評がある。60代前半、巨匠と云ってよい逸材だ。
 テミルカーノフは、チャイコフスキーの後期交響曲を96年にサンクトペテルブルク・フィルと録音しているが、「洗練された響き、時に題単位テンポを変えながら説得力豊に展開する」と評されている。
http://yomikyo.or.jp/2009/10/201005151400.php
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月12日 (月)

神奈川フィル創立40周年記念
金聖響の「復活」

5/29(土)pm3:00100529
神奈川県民ホール

 神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者2年目の金聖響。4月から始まる今年度の定期演奏会もマーラーでスタートした。それも所要時間100分という第3番だ。続く楽団創立40周年記念も、マーラーの交響曲第2番「復活」で真っ向勝負する。
  「マーラーの素晴らしさを、できるだけ多くの人に知って欲しい」という。この交響曲第2番は、祝祭にふさわしい明るく壮大な響きを持った5楽章構成の大曲だ。ペシミストのマーラーの処女作が第1番とするなら、この第2番の第1楽章は、絶望のために死んだ人のための葬送曲、2楽章以降で、人間の死と復活を音で現そうという試みなのだそうだ。「復活」というサブタイトルは第5楽章で歌われる合唱の詞から取られたもの。第4楽章で歌われる女声ソロは、二期会のベテラン2人が担当するが、特に大きな役割を果たすメゾ・ソプラノ(アルト)に豊かな響きを持つ竹本節子が登場するのに注目したい。ネットを開けば多彩な彼女の姿が浮かび上がるが、ひときわマーラー歌手として重用されていることが分かる。
 オーケストラにとっては、最高度に盛り上がる最後の最後までスタミナを維持しなくてはならないヘヴィな作品だが、会場いっぱいに広がる荘厳なオーケストラ・サウンドが、私たち聴き手を包み込んでくれることを期待したい。
http://www.kanaphil.com/
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月10日 (土)

コンセール・ロワイヤル
ベルリンとパリの宮廷音楽の楽しみ

5/27(木)pm7:00100527
近江楽堂


・J.J.クヴァンツ:
トリオ・ソナタ ハ短調
・F.ベンダ:
フルート・ソナタ へ長調
・C.P.E.バッハ:
トリオ・ソナタ ロ短調
・J.F.ルベル:
ヴァイオリン・ソナタ ト短調
・J.Ph.ラモー:
コンセール形式による
クラヴサン曲集 第1番 第3番


 “コンセール・ロワイヤル”は、文字通り、ドイツのプロイセン王朝とフランスのルイ王朝、二つの王家の雰囲気を味わってもらおうというコンサート。バロック時代の音楽と宮廷に焦点を合わせた催しだ。
 プログラムの前半は、フリードリッヒ大王(1712~1786)の宮廷に仕えた作曲家で纏められている。フリードリッヒ大王自身がフルートを演奏したが、王のフルート教師がJ.J.クヴァンツだった。大王の宮廷ヴァイオリニストだったのがF.ベンダ。C.P.E.バッハはJ.S.バッハの次男で父親を大王に紹介し、その時に王から与えられたテーマがJ.S.バッハ《音楽の捧げもの》作曲のきっかけになったという。
 フリードリッヒ大王は典型的な啓蒙専制君主で、フランス文化に憧れていて、1745年に完成したサン・スーシ宮殿にはフランスからヴォルテールなども招かれたそうだ。サン・スーシはフランス語で「心配がない(sans souci)」という意味だそうだ。
 プログラム後半は、フランス宮廷にゆかりの作曲家による作品。J.F.ルベルはルイ14世(1638~1715)、ルイ15世(1710~1774)に仕えた作曲家・ヴァイオリン奏者。ヴァイオリンソナタ集は1713年の作品だ。
 プログラムの最後を飾るのは、18世紀フランス・バロックの巨匠J.Ph.ラモー。ラモー唯一の合奏室内楽作品、「コンセール形式によるクラヴサン曲集」から2曲を取り上げる。
「出演者は、バロック関係のコンサート出演などで知り合った友人ですが、このメンバーでこういう公演を開催するのは初めての試み」という。
岩下 智子(フルート)
 東京藝術大学、同大学院修士課程を修了。1983年西日本新聞社賞受賞。86年ドイツ学術交流会留学生として、デットモルト音楽大学マスタークラス修了。88年イタリア・デュイーノ国際コンクール第2位(第1位はE.パユ)。90年ザルツブルグ音楽祭にてシュニトケの作品を世界初演。現在ソリスト、室内楽奏者として幅広く活躍。「ムシカ・ポエティカ」所属。CD「フランスの香り」、銀座十字屋マ スタ-クラス講師。http://www4.ocn.ne.jp/~gloria/
小穴 晶子(バロックヴァイオリン)
 東大文学部(美学・藝術学専攻)、同大学院博士課程修了。「ムシカ・ポエティカ」に所属する器楽奏者グループ「ユビキタス・バッハ」メンバー。多摩美術大学教授。研究の専門は18世紀フランスの音楽美学。近著『バロックの魅力』(東信堂、2007)。『なぜ人は美を求めるのか』(ナカニシヤ出版、08)。
十代田 光子(バロックチェロ)
 1984年武蔵野音大卒、86年桐朋学園大学研究科2年修了。同年オーケストラアンサンブル金沢のメンバーとなり、以後12年間在籍し副主席奏者を努めた。現在はソロ、室内楽、オーケストラを中心に、モダンチェロ、バロックチェロ奏者として活動している。
武久 源造(チェンバロ)
東京藝術大学大学院音楽研究科修了。チェンバロ,ピアノ,オルガンを中心に各種鍵盤楽器を駆使して中世から現代の幅広いジャンルで活躍。また、作曲、編曲作品を発表。2000年に器楽・声楽アンサンブル「コンヴェルスム・ムジクム」を結成、指揮、編曲活動にも力を注ぐ。1991年より30作品のCDを
ALMRECORDSよりリリース、著書『新しい人は新しい音楽をする』(アルク出版企画)。2010年3月までフェリス女学院講師。http://www.genzoh.jp
問い合わせ:
akikokoana@aol.com 
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月 9日 (金)

東京ユニバーサル・フィル
指揮:三石精一 第27回定期演奏会
《R・シューマン生誕200年記念》
5/22(土)
pm2:00
東京芸術劇場大ホール

・4本のホルンのための小協奏曲へ長調 作品86
・ピアノ協奏曲イ短調 作品54
・交響曲第3番変ホ長調「ライン」作品97100522_2

 昨日に続いて、以下、三石マエストロが語る“シューマンの交響曲攻略法”です。チラシ裏面の出演者の情報を併せてご覧ください。
 先ず、1曲目にあまり演奏される機会の無い「4本のホルンのための小協奏曲」を取り上げます。前回のハイドンで大変難しい狩りの曲を立派に吹いたユニフィルの4人のメンバーをソリストに迎えます。曲自体は単純極まりないのですが、超絶技巧といっても過言ではない、このソロパートをどの様に吹いてくれるか楽しみです。
 2曲目はフランスで研鑽を積まれた佐藤立樹さんを起用しての「ピアノ協奏曲」です。これはシューマンの管弦楽曲の中では最高の傑作ですので、演奏していても実に楽しく、大好きな協奏曲の一つです。そして最後に第3交響曲「ライン」を取り上げます。
 問題はこの「ライン」です。モティーフの展開、楽曲の構成、オーケストレーションなどの能力不足に定評?の有るシューマンですが、「ライン」も無駄に音が厚過ぎる所が多くてメロディーラインがクリアに出し難く、演奏が難渋なのです。で、以下のような意図を以て演奏したいと考えています。
 第1楽章は、多用されているヘミオーラのリズムを強調して雄大なアクセントの変化を最大限に生かし、早めのテンポで軽快に力強く、作曲者が常に理想として追い求めていた「高潔な人間像」を描いたものと捉えて、彼の昂揚した気分を表すつもりです。
 第2楽章は、モティーフの不器用な繰り返しですが、これをシューマンとクララの間の例えば,散歩への誘いと応答のように扱い、束の間の長閑で平和なひと時の情景を空想しながら表現したいと思っています。 
 第3楽章は,「子供の情景」の中の1曲の様にかわいらしい感じで表現し,シューマンが子供たちに物語りを聞かせている幸せな様子(そんな状況があったかどうか分かりませんが)を想像して演奏したいと思っています。 
 第4楽章は、クララがどうしてもこの楽章は分からないと言っ ていますが、彼がバッハの作品などから対位法を研究したといっても30代半ばからの、言わば付け焼き刃ですし、この技術だけを頼りに立派な曲が書けなくても当然と言えるのかも知れません。
 そもそも、対位法的技法は一時の気紛れ的なものが入り込みにくいので、不安定になりがちな彼の精神安定のためには確かに有効だったとは思います。しかし、シューマンの本来の音楽性には適合しないのですから、部分的な応用に留めておくべき技術だったのに、何故?と思わずにはいられません。
 しかし、霊感が枯渇し、ピアノ曲や歌曲の珠玉の名作を数多く生み出していた頃のように、楽想が自然に湧いて来るわけではないので、作曲をするには霊感を補う何らかの技術に頼るしか道が無かったのかと思うと痛ましい限りです。
 それにしても、本来フーガのクライマックスにのみ登場すべきストレットを極端に多用しているので、旋律を耳で追いかける事が困難な個所が多過ぎ、クララが困惑したのも無理は有りません。
 とにかく、錯綜する旋律の氾濫を整理する必要があり、そのためには、パートごとの旋律に強弱の優先順位を付けて、メインとなる旋律がしっかり聴こえるように工夫し、残りの旋律は陰となって聴こえるように演奏しなくてはなりません。(どの曲にも共通することなのですが)その曲では優先順位の付け方に大変苦労させられます。何故この楽章が必要だったのかさえも謎ですが、次の楽章に用いるモティーフを生み出す準備として書いたのかも知れませんし、対位法を駆使した習作をどうしても入れたかったのかも知れません。あるいは、他の比較的明るい楽章ばかりの間に、厳かな宗教的気分の曲を挟みたかったのかも知れません。
 しかしその一方で、この謎めいた楽章がこの交響曲の中で一番シューマン的と言えなくもない気がします。今となっては、この楽章の無い「ライン」はやはり考えられませんから。
 第5楽章は、第1楽章とは一味違う、多分、実生活では滅多に訪れることが無かったであろう日常的な楽しい昂揚した気分のシューマンを出来るだけ表現して見たいと思っております。
 お分かりいただけたでしょうか? 要するに全体を通して、今回この曲を、彼の家庭交響曲として捉えて見たいと思っている訳です。
 今回の結果がどうなるかは神のみぞ知るですが、シューマンの管弦楽作品への挑戦はいつもあらゆる曲の中で一番難しく、無限に頭を悩ませる要素ばかりなのです 
http://www.mitsuishiseiichi-uniphil.com/index.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

 

2010年4月 8日 (木)

東京ユニバーサル・フィル
指揮:三石精一 第27回定期演奏会
《R・シューマン生誕200年記念》
5/22
(土)
pm2:00
東京芸術劇場大ホール

・4本のホルンのための小協奏曲へ長調 作品86
・ピアノ協奏曲イ短調 作品54
・交響曲第3番変ホ長調「ライン」作品97100522

 生誕200年のシューマン・イヤー。“どの楽団もできれば避けて通りたい”というシューマンの交響曲に作曲ごころを併せもつ三石精一が挑戦、「敢えて、火中の栗を拾うことにした」という。
  「ドイツの古い指揮者たちが重厚なイメージを与え続けて、益々退屈な演奏を繰り返してきた彼の交響曲を、この機会に新しい感覚で捉なおして演奏をしてみたい」というのだ。
 それにしても、何故、シューマンの交響曲は退屈な演奏になってしまうのだろう…その疑問にマエストロが直球で応えてくれた。丁寧なコメントなので、かなりの長文ですから、本論と各論の2回に分けて配信します。
 シューマンは20代の全てをつかって、溢れるばかりの霊感を注ぎ込んだ数多くのピアノ曲を作曲しました。それは珠玉の傑作ばかりです。そして、クララの父との長い惨めな争いの結果、やっとクララとの結婚に漕ぎ着けた1840年には、138曲ものドイツ歌曲の至宝とも言うべき数々の名作を書き上げ、後世になって、ドイツ浪漫派を代表する大作曲家としての評価を得るに至りました。ですが、あれほど苦労した末にやっと結婚出来たクララが、余りにも著名な大ピアニストであったために、終始彼女の名声の陰に隠れ、彼の存在は無視されることが多く、繊細極まりない彼はひどくプライドを傷つけられていたようです。
 何とかクララをしのぐ名声を得て、経済的にもクララに負担を掛けることなく、自分自身で一家を養いたいと考えたかも知れませんし、クララの勧めも有ったかも知れませんが、1841年になって突然、管弦楽曲の作曲に取りかかったのです。 恐らく、サロンでしか発表の場が無いピアノ曲や歌曲のみの作曲ばかりでは、世間の名声を勝ち得ることが出来ないと考え、悩んだ末に大ホールで発表し多くの聴衆の賞讃を受けられるかも知れない交響曲やその他の管弦楽曲、特にオペラの作曲に意欲を燃やすようになっていったのだと思います。その方向のみが彼の音楽家としての存在証明になると考えたのかも知れません。しかし、本来、心の底からのロマンティストで、形式を無視する反古典主義の作曲家なので、ベートーベンのあまりにも偉大な業績の後、古典的な形式を無視できない交響曲の作曲は彼の守備範囲を超えたものでした。彼自身も当然それを自覚しいたでしょうし、次第に襲ってくる精神異常への恐怖とも戦い、同時に訪れて来なくなった霊感の涸渇に悩みながら、新しい世界を求めてもがき続けた後半生だったのだと思います。交響曲にしてもオペラにしてもとにかく構成ということに余り興味が無かったのか、もともとその能力が足りなかったのか、彼の管弦楽曲に非常に多く見られるモティーフの単調な繰り返しや、余りにも幼稚な対位法の取り入れや、その他の色々な努力の甲斐も無く、結果的に退屈なものとなってしまうことが多くなってしまったのは事実です。
 元々彼の才能は瞬間的なひらめきの素晴らしさが特徴なのですから、さながら、詩人であって文豪ではないのに不向きな長編小説にチャレンジした作家のようなもので、痛ましい思いがしてなりません。
 そうした瑕疵にどう対処するか…、その秘策は、明日までお待ちください。
http://www.mitsuishiseiichi-uniphil.com/index.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月 7日 (水)

都響4月定期Aシリーズ
モーツァルト&エルガー

4/22
(木)pm7:00
東京文化会館

・モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453
・エルガー:交響曲第2番 変ホ長調 作品63
指揮:ジェームズ・ジャッド
100422mel
ピアノ:相沢吏江子

 東京都響の今月の定期演奏会は、Aシリーズの‘モーツァルト&エルガー’のプログラミングに惹かれた。Bシリーズ(4/15)は、ウイリアムス、ウォルトン、エルガーと、‘オール英国音楽傑作選’なので、イギリス音楽ファンにお任せするとしよう。
 指揮のジェイムズ・ジャッドは1949年イギリス生まれ、お国ものエルガーは数々録音している十八番だ。
 《威風堂々》などでお馴染み、エルガー(1857~1934)の《交響曲第2番》は、エドワード7世の追悼に捧げた曲で、気品高いメロディ、心地よい昂揚感や輝きが壮大なスケールへと実った渾身の傑作だ。堂々たる序奏から雄弁に広がる音楽、穏やかな響きから美しさが胸に迫るエピローグ…。「作曲家が生きた時代、大英帝国の落日が照り映えたような印象を受けもすれば、エルガーが親しかった女性との深い交情を反映しているとの説も。様々な含意が響く大作、謎解きも忘れさせる豊かなスケールをじっくり体感したい」とプログラムノーツに。
 前半はモーツァルト(1756~91)珠玉のピアノ協奏曲から、第17番ト長調(K.453)。ウィーンに進出し、栄光を謳歌していた28歳のモーツァルトが、弟子のバルバラ・プロイアー嬢のために書いた情感豊かな名品だ。管楽器を巧みに生かしたオーケストラも魅力的で、モーツァルトの飼っていたムクドリも歌ったという(?)。陰翳も美しく織りなされる、順風満帆、幸せな時期のコンチェルト。ニューヨークを拠点に活躍する相沢吏江子が共演する。若くして内田光子の推挙で登場、渡米して巨匠ホルショフスキー最後の弟子として研鑽を積んだ逸材。表情豊かな演奏が感嘆を呼んできた彼女のアプローチが楽しみだ。
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3340
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月 6日 (火)

新東京室内オーケストラ
第25回定期公演 ウィーン古典派の系譜ⅩⅩⅤ
ビーダーマイヤー時代の音楽
5/19(水)pm7:00
紀尾井ホール

・シューベルト:序曲 ホ短調 D.648
・パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 op.7「ラ・カンパネッラ」
・J.シュトラウス1世:ワルツ op.11 「パガニーニ風」
・シューベルト:交響曲 第5番 変ロ長調 D.485
・ベートーヴェン:「アテネの廃墟」op.113 より
           序曲/舞台裏からの音楽/トルコ行進曲10051925

 読売日響のソロ・コンマス藤原浜雄を筆頭に読響を中心とした精鋭が前田二生指揮で続けている新東京室内オーケストラは今年創立20周年を迎える。この「ウィーン古典派の系譜」シリーズは25回目の公演だ。初回からウィーン楽友協会資料室長のビーバ博士が企画に参画し、テーマを定めて催される。当日配布のプログラムには、同博士による“系譜”の解説が優れた日本語訳で掲載される。
 これまで、ハイドン・モーツァルトを初めとするウィーン古典派の大作曲家の作品を中軸とし、その蔭に隠れてはいるが、独特の輝きをもつ多くの作品を紹介してきた。今回のテーマの「ビーダーマイヤー時代の音楽」は、作曲家よりむしろ時代に焦点をあてるという企画だ。
「ビーダーマイヤー(Biedermeier)」とは19世紀前半のドイツ、オーストリアで生まれた市民文化のスタイルの総称で、高邁な理念理想よりむしろ日常的な上品で簡素なものに目をむけようという潮流から生まれたものだという。おもに工芸、絵画や服飾の分野で特徴的な傾向が表れているが、音楽の分野でもいくつかの様相が認められるのだそうだ。それらの特徴を表す楽曲の中から、今回はシューベルト、ベートーヴェン、パガニーニ、J.シュトラウスⅠの作品が選ばれた。パガニーニのヴァイオリン協奏曲では藤原氏がソロを弾く。
「日本ではあまり馴染みのない「ビーダーマイヤー時代」の音楽ですが、ビーバ博士の解説文とともに興味深くお聞きいただけるものと思います。今年は、このコンサートのあと6月14日にウィーン楽友協会で、同じプログラムを前田二生がスロヴァキア・シンフォニエッタと演奏いたします。まずは東京にてビーダーマイヤー時代の音楽をお楽しみいただけますよう、お待ち致しております」と主催者。指揮者のプロフィールなどは下記のHPでご覧いただけます。
主催・申込み: 前田事務所 Tel 03-3446-1223
http://www.maedaoffice.com/schedule.html 
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

2010年4月 4日 (日)

クライネス・コンツェルトハウス
Kleines Konzerthaus op.28
第3回 弦楽合奏団 公演
4/24(土)pm7:00100424
東京文化会館
小ホール

ヴァイオリン:三戸 素子、田澤 明子、
 浜野 考史、塗矢 真弥、萩原 淑子、
 村松 伸枝、小澤 郁子、印田 千裕
ヴィオラ:長谷川弥生、河野 理恵子、

 柳澤 崇史、渡邊田鶴野
チェロ:小澤 洋介、宮澤 等、根津 要
コントラバス:高柳 安佐子
 

 デュオやトリオ、弦楽四重奏と多彩なアンサンブルで気を吐くクライネス・コンツェルトハウス。今回は“室内楽の進化形”と称する16人の弦楽合奏団の第3回公演だ。
 今回のメインディッシュはシェーンベルクの「浄夜」。シェーンベルクは現代音楽というだけで敬遠されがちだが、これは“ウィーン世紀末のロマン”なので心配無用。
 前菜は、弱冠13歳、若いメンデルスゾーンのすがすがしい弦楽交響曲第2番にはじまりる。次いで、「弦楽合奏のための牧歌」で不思議なヤナーチェクの世界へ。民謡風の懐かしいメロディーがとらえ所のない人間の心の動きのように七変化する、何となく哀愁のある、はまる曲とのこと。 
 休憩後はクープランのチェロと弦楽のための小品「演奏会用5つの小品」。そして、トリがシェーンベルクの後期ロマン派の真骨頂ともいえる「清められた夜」だ。リヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づいて、月下の男女の語らいが題材となっているそうだ。原曲は1899年、25歳のときに作曲された弦楽六重奏曲という。今回の演奏は文字通り16人の“進化形”で演奏される。
主催:クライネス・コンツェルトハウスhttp://www.kleines-k.com/
申込み:ハラヤミュージックエンタープライズ Tel 03-5685-0650
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.,

2010年4月 2日 (金)

ディーナ・ヨッフェ ピアノ・リサイタル
Dina Yoffe Piano Recital in Tokyo
4/30(金)pm6:15・しらかわホール(名古屋)
5/2
(日)pm2:00・東京文化会館小ホール

・J.S. バッハ:パルティータ 第2番 BWV826
・ベートーヴェン:ソナタ 第14番op.27-2「月光」
・ショパン:ノクターン ヘ短調op.55-1、ヘ長調op.15-1、
 3つのマズルカ op.59、バラード 第4番 ヘ短調op.52
 

100502pf メータ/イスラエル・フィル、マリナー/NHK交響楽団、デプリースト/東京都響、ゲルギエフ、キタエンコの両指揮でモスクワ・フィル…。こうした巨匠と共演しているディーナ・ヨッフェを私はこれまで見落としていた。
 “ショパンコンクール真の覇者…”、気になるコピーがチラシに載っている。それはどうやら、まず1974年にシューマン国際ピアノコンクール、続く75年のショパンコンクールで何れも第2位。にも関わらず、直後から第一級のマエストロらと共演しているからだろう。
 旧ソ連時代のラトビア生まれ、チャイコフスキー音楽院に学び、受賞以来、フランス、ドイツ、イギリス、ロシア、イスラエル、日本、アメリカ、フィンランド、ポーランド各地で演奏会を行っている。
 また、室内楽も積極的で、フランス、フィンランド、イタリアの音楽祭に参加し、バシュメット、レーピン、ワイマン、ヤブロンスキー、ブルンナーなどの演奏家とも数多く共演している。ドイツや、ロンドンのロイヤル・アカデミーでのマスタークラスの他、2000年以降ニューヨークのサミット音楽祭にも招かれている。1989年から96年までイスラエルのルービン音楽アカデミー、95年から2000年まで愛知県立芸術大学で客員教授を務め、現在はドイツのアントン・ルービンシュタイン国際アカデミーの教授を務めている。この春イチオシの来日ピアニストだ。
 今回の演目、後半は生誕200年を記念してショパンのノクターン、マズルカ、バラードだが、開幕は「ヨーロッパ音楽が収斂されているバッハ」から。次いで臆せずに先達の名演奏が目白押しのベートーヴェンの「月光」を聞かせてくれる。
 これまで彼女の演奏を聞いた方々の聴後感は、こうだ。
「ふくよかな体つきで、笑顔も包み込むように優しく、大好きな音楽を皆と共有できるのが何よりうれしそう。躍動感あふれる演奏で、聴衆の心をつかむ」…なんと、チラシのイメージそのものではないか
 プロフィールなど詳細、それに申込みは以下のURLで。
http://www.proarte.co.jp/c_detail.php?cate=12&fileid=222531
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

.

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »