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2010年4月 9日 (金)

東京ユニバーサル・フィル
指揮:三石精一 第27回定期演奏会
《R・シューマン生誕200年記念》
5/22(土)
pm2:00
東京芸術劇場大ホール

・4本のホルンのための小協奏曲へ長調 作品86
・ピアノ協奏曲イ短調 作品54
・交響曲第3番変ホ長調「ライン」作品97100522_2

 昨日に続いて、以下、三石マエストロが語る“シューマンの交響曲攻略法”です。チラシ裏面の出演者の情報を併せてご覧ください。
 先ず、1曲目にあまり演奏される機会の無い「4本のホルンのための小協奏曲」を取り上げます。前回のハイドンで大変難しい狩りの曲を立派に吹いたユニフィルの4人のメンバーをソリストに迎えます。曲自体は単純極まりないのですが、超絶技巧といっても過言ではない、このソロパートをどの様に吹いてくれるか楽しみです。
 2曲目はフランスで研鑽を積まれた佐藤立樹さんを起用しての「ピアノ協奏曲」です。これはシューマンの管弦楽曲の中では最高の傑作ですので、演奏していても実に楽しく、大好きな協奏曲の一つです。そして最後に第3交響曲「ライン」を取り上げます。
 問題はこの「ライン」です。モティーフの展開、楽曲の構成、オーケストレーションなどの能力不足に定評?の有るシューマンですが、「ライン」も無駄に音が厚過ぎる所が多くてメロディーラインがクリアに出し難く、演奏が難渋なのです。で、以下のような意図を以て演奏したいと考えています。
 第1楽章は、多用されているヘミオーラのリズムを強調して雄大なアクセントの変化を最大限に生かし、早めのテンポで軽快に力強く、作曲者が常に理想として追い求めていた「高潔な人間像」を描いたものと捉えて、彼の昂揚した気分を表すつもりです。
 第2楽章は、モティーフの不器用な繰り返しですが、これをシューマンとクララの間の例えば,散歩への誘いと応答のように扱い、束の間の長閑で平和なひと時の情景を空想しながら表現したいと思っています。 
 第3楽章は,「子供の情景」の中の1曲の様にかわいらしい感じで表現し,シューマンが子供たちに物語りを聞かせている幸せな様子(そんな状況があったかどうか分かりませんが)を想像して演奏したいと思っています。 
 第4楽章は、クララがどうしてもこの楽章は分からないと言っ ていますが、彼がバッハの作品などから対位法を研究したといっても30代半ばからの、言わば付け焼き刃ですし、この技術だけを頼りに立派な曲が書けなくても当然と言えるのかも知れません。
 そもそも、対位法的技法は一時の気紛れ的なものが入り込みにくいので、不安定になりがちな彼の精神安定のためには確かに有効だったとは思います。しかし、シューマンの本来の音楽性には適合しないのですから、部分的な応用に留めておくべき技術だったのに、何故?と思わずにはいられません。
 しかし、霊感が枯渇し、ピアノ曲や歌曲の珠玉の名作を数多く生み出していた頃のように、楽想が自然に湧いて来るわけではないので、作曲をするには霊感を補う何らかの技術に頼るしか道が無かったのかと思うと痛ましい限りです。
 それにしても、本来フーガのクライマックスにのみ登場すべきストレットを極端に多用しているので、旋律を耳で追いかける事が困難な個所が多過ぎ、クララが困惑したのも無理は有りません。
 とにかく、錯綜する旋律の氾濫を整理する必要があり、そのためには、パートごとの旋律に強弱の優先順位を付けて、メインとなる旋律がしっかり聴こえるように工夫し、残りの旋律は陰となって聴こえるように演奏しなくてはなりません。(どの曲にも共通することなのですが)その曲では優先順位の付け方に大変苦労させられます。何故この楽章が必要だったのかさえも謎ですが、次の楽章に用いるモティーフを生み出す準備として書いたのかも知れませんし、対位法を駆使した習作をどうしても入れたかったのかも知れません。あるいは、他の比較的明るい楽章ばかりの間に、厳かな宗教的気分の曲を挟みたかったのかも知れません。
 しかしその一方で、この謎めいた楽章がこの交響曲の中で一番シューマン的と言えなくもない気がします。今となっては、この楽章の無い「ライン」はやはり考えられませんから。
 第5楽章は、第1楽章とは一味違う、多分、実生活では滅多に訪れることが無かったであろう日常的な楽しい昂揚した気分のシューマンを出来るだけ表現して見たいと思っております。
 お分かりいただけたでしょうか? 要するに全体を通して、今回この曲を、彼の家庭交響曲として捉えて見たいと思っている訳です。
 今回の結果がどうなるかは神のみぞ知るですが、シューマンの管弦楽作品への挑戦はいつもあらゆる曲の中で一番難しく、無限に頭を悩ませる要素ばかりなのです 
http://www.mitsuishiseiichi-uniphil.com/index.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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