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2010年10月 5日 (火)

モーツァルト劇場27周年
ガラ・コンサート
 
続報 猛暑を越えて 稽古たけなわ!

構成とお話・高橋英郎
10/16(土)pm2:00
浜離宮朝日ホール

 残暑厳しい8月末に配信しました。
http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-4260.html
このモーツァルト劇場ガラコンサートの続報です。
 総監督の高橋英郎氏が、猛暑さなかの会報に分かりやすいコメントを載せておられます。モーツァルトとオッフェンバックを知るに相応しい、また、メッセージ性に富んだ内容なので、会員以外の方にも広くお知らせしたく、氏の了解を頂きました。一読の価値ありです。
            ☆
 日本全国113年ぶりの暑さとか、地球の温暖化は年ごとに進んでいるようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。日々、切実にお見舞い申し上げます。われわれ滅びの美学をもつなら、「モーツァルトを聴き、オッフェンバックに笑って死のう」と考えるのも悪くはありません。
 今回出演する歌手たちは、いずれもこれまでのモーツァルト劇場の舞台で親しまれ、拍手を浴びた名歌手たちです。いま新国立劇場で夜の女王を歌う安井陽子も数年前オッフェンバック《シュフルーリ氏のサロンコンサート》で客人に出演してくれたソプラノですし、つい先日池辺晋一郎の《鹿鳴館》で影山伯爵を朗々と歌った黒田博も若い頃はフィガロやパパゲーノでグローブ座の舞台をどよめかせた名バリトンです。その彼がドン・ジョヴァンニや《地獄のオルフェ》でジュピテル扮するハエを演じるのですから見逃せません。
 第一部は、モーツァルト後期の4大オペラから、第二部はオッフェンバックのオペレッタ4曲から抜粋です。
 第一部は《フィガロの結婚》冒頭、スザンナとフィガロの二重唱〈夜中、奥様お呼びの時〉は栗原剛と鵜木絵里のディンディン、ドンドンで軽快に始まり、伯爵の悪巧みをあぶり出しにします。
 「まだ望みはあるわ」とレチタティーヴォで始まるマルチェリーナとスザンナの二重唱〈どうぞお先に〉は、そのうち親子の仲になるとも知らず、押見朋子と鵜木絵里の丁々発止がたまらなく面白い。やっと終幕になって自分のアリアを歌うスザンナ足立さつきの〈とうとう嬉しい時がやってきた〉も久々の聴きものです。
 《コシ・ファン・トゥッテ》では、姉フィオルディリージ菊地美奈と妹ドラベラ津久井明子の男品評のデュエットが、短くもモーツァルトのエッセンスに溢れています。小間使いデスピーナ横山美奈の〈女も15になれば〉はどこで仕込んできたのか、若い小間使いの人生観が旧世代をゆるがしてゆく滅多に聴けないアリアです。
 《ドン・ジョヴァンニ》では新進高橋さやかのツェルリーナからベテラン黒田ジョヴァンニの誘惑にあの小屋までいかに誘われてゆくか見ものです。そして、高橋照美のドンナ・エルヴィラの〈あの不実者は私を裏切り〉は実力の見せどころです。
 《魔笛》では、栗原剛のパパゲーノが〈鳥さし〉のアリアで不思議な世界を運んできます。小貫岩夫のタミーノの〈絵姿の歌〉は、見た瞬間に恋を感じるひと目惚れのアリアです。対するパミーナ砂田恵美の〈愛の喜びは露と消え〉はモーツァルトの最もデリケートな感性の歌です。そして、安井陽子の夜の女王のアリア〈復讐の怒りに燃え〉は、パワフルな怒りを噴出させたモーツァルトの激情で、NHKの人気アンケートでは、《トスカ》の〈星は光りぬ〉に続くとか。18世紀の歌が、音で圧倒する20世紀の音楽に遜色ないのは驚くべきことです。
 18世紀後半モーツァルトの時代には、器楽も声楽も差別なく愛好され、演奏されていました。モーツァルトが弾くピアノのあとにコンサートアリアが続き、そのあとディヴェルティメントのあとに恋の二重唱が続くという風に上下の別はなく楽しみました。
 ところが日本の洋楽渡来以来、ことに昭和に入ってドイツ美学が音楽会の構成まで支配し、交響曲、協奏曲が主となって、オペラでは序曲だけ、歌の演奏は極端に減ってきました。そのアンバランスを21世紀には取り戻さなくてはなりません。
 第二部は、冒頭、渡辺純子による〈デュポールの主題による変奏曲〉…数多くの変奏曲の中で最も愛好されている作品ですが,彼女がザルツブルグ音楽院時代に吸収したモーツァルトの香りをどう伝えてくれるか楽しみです。
 つぎにハープソロを弾く長澤真澄は、長らくオランダに住み、コンセルトヘボウとの室内楽などを演奏したり、ヨーロッパの伝統を深く学んでいる人です。今回、ディーケンス先生の「第三の学校」の招きで来日し、モーツァルト劇場の公演にも出演してくださることが可能になったのですが、そのハープの響きに何ものにも代え難い音楽の源泉があることに耳を傾けて頂けたら幸いです。ナーダーマンの〈ソナタ5番〉そして〈魔笛の主題による変奏曲〉を弾いてくれます。
 後半は笑いの王様オッフェンバックの世界です。
 《チュリパタン島》は、昨年蔵田雅之が公爵を演じて当たり役となった。この尊大でケチでデマをとばすスキャンダラスな公爵は、登場からして笑わせてくれます。
 《ラ・ペリコール》は、ペルー出身の女優ミカエラをモデルにした喜劇。貧しくて結婚できない若く美しい娘ペリコールと若者ピキーヨの熱烈な恋の物語だが、〈空腹では恋も出来ません。別れましょう〉とペリコールが書きながら歌う手紙の歌は泣かせる。二人は総督のもと身を犠牲にして働くが、その成果はいかに実るのか?品田昭子、吉田伸昭の芸達者な歌が呼びものです。
 《美しいエレーナ》は、ギリシャ神話のトロイ戦争の原因ともなるお話であるが、いたずら者のパリス小貫岩夫が、美しきエレーヌ森朱美の亭主アガメムノンの留守中、夢のベッドに入り込み、〈これは夢ね、これは夢だ〉と陶酔して歌う二重唱はフランスのエスプリといえるでしょう。
 フィナーレ《地獄のオルフェ》のハエの二重唱も傑作です。黄泉の国の王ブリュトンに囲われたウリディーヌは退屈しきっているところ。ハエに化けたジュピテールが羽音高らかにジージ、ジージと誘惑すれば、ウリーディスも乗って〈ジージ〉の二重唱となる。この愉快な場を鵜木絵里と黒田博がいかに演じるか、今から楽しみですね。
http://www.mozart.gr.jp/swf/menu3.swf
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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