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2010年10月21日 (木)

上岡敏之、ヴッパータル響を振る
(10/18・サントリーホール)
・モーツァルト/交響曲第28番 ハ長調K.200
・マーラー/交響曲第5番 嬰ハ短調

101018_3 この公演は、“Music a la Carte”で、告知しなかった。というより出来なかったのだ。彼の記憶は、3年前の来日公演。この手勢を率いての“凱旋公演”だったが、ただ「凄い日本人がいるものだ」と舌を巻いた、というより飲み込まれてしまって、演目もなにも覚えていないから…。
 今回、ウィキメディアに東京都出身とあるのに神奈川県立湘南高校卒とあり、1960年9月20日生まれで私の後輩だということを知った。風貌は穏和な青年だが、この秋ちょうど50歳。途轍もない後輩だ。
 一曲目のモーツァルトでは、左手はほとんど背もたれのバー(横棒)を掴んで、指揮棒を持った右腕だけ、斜に構えた“片手運転”。それが実にしなやかで、膝から棒の先までが、あたかも新体操のようにしなるのだ。(柳腰とはチト違う)
 時には左腕を頭上に掲げて管楽器をコントロールし、同時に右手の指揮棒は手前で渦巻く弦楽器群を鼓舞する。右手と左手が全くちがう拍子を刻んでいる。この28番はプログラムノーツに、「すぐにメロディが思い浮かぶ方は少ないかも…」とある、18歳の作だが、「後期の交響曲の熟した魅力とは違った躍動感が息づいている」という、文字通りの演奏が目の前に繰りひろげられた。ピアニッシモを超えるピアピアニッシモからフォルテッシモまで、これぞモーツァルト、交響曲の原典と思わせる端正な響きだった。
 2曲目のマーラーの5番では、冒頭から両手使いに徹していた。3管編成、弦が三割り増しの編成にふくらんだが、緻密なピアニッシモにかわりはなく、ダイナミックレンジは大きくふくらむ。冒頭のトランペットに始まり、頻繁に活躍するホルンなど、清楚なと云ってもよいほど。抑制されたまろやかな管楽器の音色は奏者の技量に負うところも大きいだろう。
 そう、忘れるところだった。両曲とも上岡は暗譜で演奏した。スクロヴァチェフスキなど往年の巨匠には全て暗譜というツワモノもおるが、作曲家の想いを手中に収めているからこそ、してのけることが出来る美技なのだろう。
 終演後に奏者を讃えて起立を促す場面でも、上岡の指示に即応する様は、国内の楽団に是非とも見習って欲しいところだ。これが、実に気持ちのよい終わり方なのだ。
http://www.www3.to/kamioka/
注:写真は当日配布のプログラムから転載。

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