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2010年10月 8日 (金)

イタリアオペラ大作曲家達のもう一つの顔
東京ユニバーサル・フィルハーモニー定期演奏会28
11/21(日)pm2:00
東京芸術劇場
101121

指揮:三石 精一
ソ プ ラ ノ :清水 知子
メゾソプラノ:菅 有実子
テ ノ ー ル:大澤 一彰
バ ス : 久保 和範

・プッチーニ 交響的前奏曲
・プッチーニ 「菊の花」
・ヴェルディ 4つの聖歌より
        「スターバト・マーテル」
・ロッシーニ「スターバト・マーテル」

 東京ユニフィルは、音楽監督三石精一のもと、毎回、しっかりしたコンセプトを掲げて定期演奏会を開催してます。今回は、イタリアオペラの三大作曲家のオペラ以外の余り演奏されない作品が紹介されます。以下、三石マエストロの彼ならではのコメントです。長文ですが、宗教曲に対する彼の立ち位置が分かりやすく解かれています。
 面白い事にロッシーニとヴェルディの合唱曲は、彼らが全てのオペラ作曲を終えた後に作曲しているのに対して、プッチーニのオーケストラのための2曲は、共に彼がオペラ作曲家としてスタートする前の作品なのです。3人ともオペラの作曲中は他の曲を書く時間が無かったのでしょうね!
 最初に演奏するプッチーニの2曲はどちらも短い曲で1曲目の「交響的前奏曲」Preludio sinfonicoはミラノ音楽院での修行中の20代始めの作品だそうで、未熟な作品ですが旋律の美しさや和音の移り変わり方などにはその後の彼のオペラの流麗な音楽の片鱗が見られます。
 2曲目の「菊の花」Crisantemはやはり修業時代の作品と思われますが、何時ごろ作曲されたか資料が全く手元に無く解りません。もとは弦楽四重奏の曲で、この分野でもアンコールなどでかなり演奏されているようですが、今回の弦楽合奏版の方が演奏される機会が多いでしょう。この作品は、1曲目の作品よりかなり手法が熟達しています。全曲プッチーニ独特の哀愁を帯びた旋律で終始する非常に美しい作品で、彼のオペラ以外の作品では出色の出来だと思います。
 後半に演奏するロッシーニの“Stabat Mater”(悲しみの聖母)は、彼のオペラには見られない大胆な転調が、特に合唱に試みられていて非常に興味深い意欲的な作品です。1時間ほどのかなり長い曲ですが、4人のソリストのベルカント風な旋律もオペラティックで、中々美しい変化に富んだ作品です。彼の最後のオペラ「ウィリアム・テル」よりも10年以上後の50歳頃の作品です。
 前半の終わりに演奏するヴェルディの“Stabat Mater”も、当然ながらロッシーニの曲とほとんど同じ歌詞を基に作られています。 こちらも彼の最後のオペラ「ファルスタッフ」から5年後の85歳
の作品です。ロッシーニの作品が10曲から成り立っていて、歌詞の1節ごとに違う曲を当て、それぞれ歌手と合唱の組み合わせを変えているのに対して、ヴェルディの方は合唱だけを用いて、歌詞の繰り返しが殆ど無く、一気にクライマックスに達してドラマティックに終わっている短い曲です。この曲は「4つの聖歌」と題した合唱曲集の中の1曲として纏めて出版されています。
 しかし、レクィエムもそうですが、殆ど全ての宗教曲(クラシックの世界ではキリスト教以外の宗教曲は有りませんが)に共通しているのは、中世のカトリック教皇庁が信者を縛り付けるために作成した歌詞による、有りもしない「最後の審判」の恐怖の表現が最大限に用いられていることです。しかも、どの作品もその部分が一番強烈な歌詞になっているために、作曲家たちが音楽的にも一番重きを置いているので、折角の素晴らしい作品なのにどうして?と、無宗教の僕などは残念に思うところもあります。残念ながらオーケストラと一緒に演奏する大規模な合唱曲は、ほとんどがこれらの歌詞を持つ宗教曲なので致し方有りません。
 今回の「悲しみの聖母」の歌詞の主旨も、本来はキリストの処刑に立ち会ったマリアの悲しみを共に嘆くことにあるべきですし、最初は勿論その様に始まるのですが、最後は何と、これだけ悲しみを共にしたのだから最後の審判の時には天国に行ける様に取り計らってくれと言う、我々にとっては到底理解不能で見当違いとしか思えない歌詞で終わっているのです!
 このことに何の違和感も持たずにキリスト教の西欧人が現在まで歌って来たのかどうかは解りませんが、中世の教会の恐ろしさ、宗教指導者の強引さを痛感せざるを得ません。
…あり得ない事ですが、この世界から3大宗教のような“一神教”が消え去り、全人類が多神教または無宗教となれば、もっと世界は平和になるのでは…と、宗教曲を演奏するたびに思ってしまいます。
 ロッシーニは、さすがにこの様な終わり方はおかしいと思ったのか、通常の歌詞の最後の曲の後に「永遠にアーメン」という歌詞を用いた大フーガを付け加えて終わっています。
http://www.mitsuishiseiichi-uniphil.com/index.html
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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