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2010年12月17日 (金)

日本管弦楽の名曲とその源流
別宮貞雄プロデュース11・12

都響 20111月定期公演

 毎年、この新年企画を告知しないと“Music a la Carte”は年が越せない。日本の管弦楽曲を日本のみならず、世界に認知してもらおうと発信し続ける、日本を背負う都響ならではの試み。別宮貞雄氏による6年間12公演が年明けに完結する。指揮は両公演とも現代音楽のスペシャリスト、シュトックハンマー。ロサンゼルス生まれのアメリカ人。

第710回 定期演奏会 Bシリーズ
日仏人の作曲家が描く幻想絵巻

110118bh1/18(火)pm7:00

(プレトーク pm6:35 権代敦彦・片山杜秀)
サントリーホール

指揮:ヨナタン・シュトックハンマー
ピアノ:向井山朋子
チェロ:古川展生

*プーランク/組曲「牝鹿」
*マーク=アンドレ・.ダルバヴィ/
  ヤナーチェクの作品によるオーケストラ変奏曲(2006)
*権代敦彦/ゼロ-
ピアノとオーケストラのための(2005)
*田中カレン/アーバン・プレイヤー
    -チェロとオーケストラのための(2004)-日本初演

 
 毎年のことだが、現代音楽に疎い私にとって、演目は判じ物に見える。その、こんがらかった知恵の輪をチラシ裏面で片山杜秀氏が明快に解きほぐしている。表題の“日仏4人の作曲家が描く幻想絵巻”は、この公演の片山氏の絵解き。
 この公演で紹介されるのは、権代敦彦と田中カレンの二人だが、彼らのルーツ、因って立つところを明かすために、プーランクとダルバヴィが登場するという仕掛け。
 まずプーランク(1899~1963)は、この公演のプランナーでもある作曲家別宮貞雄の師匠ミヨーらと共に「フランス6人組」に数えられている。6人組はみな先輩のストラヴィンスキーに惹かれていた。プーランクは強烈な《春の祭典》より軽やかな《プルチネッラ》に惹かれていたようで、彼の《牝鹿》はまさにポップな《プルチネッラ》、なのだという。
 「6人組」の次世代にいるのが別宮のもうひとりの師匠メシアンとジョリヴェ(1/24公演で登場)だそうで、「2人とも《春の祭典》びいき。…メシアンの圏域から出て更に発展したのが、ミュライユやマヌリだが、ダルバヴィ(1961~)と田中カレン(1962~)は共にミュライユ門下。権代(1965~)はマヌリに習っている」…これで先ずは今回登場する4人の作曲家に辿りついた。
 で、今回演奏されるダルバヴィの《変奏曲》は、サントリーホールが委嘱、2006年に東京で初演された。あたかも「ヤナーチェクがドビュッシーやメシアンと出会い、印象派風の官能に溺れてゆくような音楽」だという。
 権代の《ゼロ》は、「“グランド・ゼロ”に触発されている、一種の破壊衝動のある強烈なピアノ協奏曲で《春の祭典》的だ」。独奏ピアノの向井山朋子は2005年の初演者。
 田中の《アーバン・プレイヤー》は、ケント・ナガノ指揮で2004年アメリカで初演、今回が日本初演となる。「メシアンやミュライユからは遠く離れ…現代の大都会の抒情や倦怠や哀愁でいっぱい。ポップなメロディがたくさんある、まさに“現代のプーランク”」と片山氏。
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3363

第711回 定期演奏会 Aシリーズ
ジョリヴェ、西村が目指した神秘なる響き

1/24(月)pm7:00110124a
(プレトーク pm6:35 西村朗・片山杜秀)
東京文化会館

指揮:ヨナタン・シュトックハンマー
サクソフォン:須川展也
ピアノ:永野英樹
ハープ:吉野直子

*西村朗:サクソフォン協奏曲「魂の内なる存在」
*アンドレ・ジョリヴェ:ハープと室内管弦楽のための協奏曲
*西村朗:幻影とマントラ
*アンドレ・ジョリヴェ:ピアノ協奏曲

 18日公演と同じ指揮者、チラシ裏面の解説も片山杜秀氏。その片山氏曰く。「ジョリヴェと西村朗に師弟関係はないが、2人の世界は近い。ストラヴィンスキーの原始主義とドビュッシーの東洋的幻想とスクリャービンのエクスタシーがまぜこぜになると、ジョリヴェや西村になる。だから、この演奏会のプロデューサーの別宮は、2人を並べたくなったのだろう」と明快だ。
 フランス人のジョリヴェ(1905~74)は合理的で科学的な現代文明を嫌い、非合理でミステリアスな音楽を目指す。アフリカやアジアに惹かれ、来日もしたそうだ。《ピアノ協奏曲》はこうした原始主義の傑作。《春の祭典》のピアノ協奏曲版。もうひとつの《ハープと室内管…》も「むんむんした熱帯で蔦の絡まるようなマジカルな作品」と片山氏。
 西村は、矢代秋雄の弟子だが、「明晰な音楽を目指した師匠の美学に従わず、神秘的かつアジア的なスタイルに憧れ、“日本のジョリヴェ”とも呼べるスタイルを確立していった」という。《サクソフォン協奏曲》(1999)は、「人間の魂が神の領域に引き寄せられてゆくさまを描く神秘的交響詩みたいなものだけど、サックスの独奏パートはは実にジョリヴェっぽい。《幻影とマントラ》(2007)は、チベット仏教の経典『死者の書』から霊感を得ている。…僧侶の読経の旋律やラッパや打楽器の響きを大オーケストラで写して増幅したような絢爛たる音響が繰り広げられる。どちらも音でトリップできる陶酔的作品だ」
 4曲のうち協奏曲が3曲。“超豪華版のソリスト!”もウリだ。
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3364
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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コメント

全部チケットを確保できました。
とても楽しみにしています。

 いつも、“Music a la Carte”のご愛読ありがとうございます。
 疎い現代音楽に臨み、今回の告知は我ながらよく頑張った、と自画自賛の作です。
 都響は10年前には考えられないほど頭抜けた力量で、このところ秀演続き。極めて歩留まりのよい管弦楽団だと思います。

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