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2010年12月29日 (水)

今年聴いたCDから《バロック2題》
テレマン&ブクステフーデ


 バロック時代の終わりに活躍したドイツの大作曲家テレマン。その名はよく知られているが、彼の全貌を知るのは並大抵のことではないようだ。「八面六臂の活躍ぶりは今日ならさしずめマルチ・タレントと云うことになろうか…」とチェンバリストの岡田龍之介氏。
 一方、ブクステフーデはバッハ以前のドイツ・バロック音楽で最も重要な作曲家というが、私はこのCDで初めて知った。このコーナーで取り上げようとブックレットに目を通しているところに、今年度(第65回)文化庁芸術祭レコード部門で優秀賞受賞のニュースが飛び込んできた。

ディートリッヒ・ブクステフーデ
Dietrich Buxtehude

(ナミレコード WWCC7660-61・2枚組・\5,250)
ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、
チェンバロのためのソナタ全集


桐山建志
(ヴァイオリン)http://www.02.246.ne.jp/~uzura/
風早一恵(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
http://www.avanti.gr.jp/players/kazahaya.html
平井み帆(チェンバロ)http://homepage2.nifty.com/hirai_miho/index.htm

Cd_3 オルガン曲やカンタータなどで知られるブクステフーデ(1637-1707)の室内楽が広く知られるようになったのはこの10数年のことで、オランダの先鋭的な古楽奏者によるCDが出回ったそうだ。そうした系譜を経て聴くこのCDは、「明るい桐山のヴァイオリンをはじめ、…エネルギッシュで…何よりもまずすべての音が生命の輝きに満ちている」とブックレット氏。何よりもまず感じられるのは“古楽器臭くない”ことだ。この弦楽器2台とチェンバロのトリオは、古典以降のピアノトリオ(ヴァイオリン・チェロ・ピアノ)の原型といえようか。なにしろ古さを感じないのだ。70歳、当時としては長命だった彼が若いバッハを魅了し、多大な影響を与えたといわれるが、さもありなん。  
 バッハより45年前の1637年、デンマーク領オルデスローで生まれたのち、スエーデンとドイツで過ごした。31歳でリューベックの聖マリア教会のオルガニストに就任。“アーベント・ムジーク”という名の公開演奏会を開催し、様々なドイツの作曲家のオルガン曲、時にはイタリアの作曲家らの宗教声楽曲も紹介した。若き日のJ.Sバッハが500km離れたアルンシュタットから歩いて訪ねてきたと伝えられている。
 この溌剌としたバロック音楽は名手3者によって今、私たちに届けられている。彼らの経歴については、各人のHPで丁寧に紹介されている。CDの発売元「ナミレコード」のHPは以下に。

http://www.nami-records.co.jp/archive/20101120.html

G.Ph.テレマン:トリオ&カルテット

(バウンディ DQC-473・\2,940)
多才な音のアルチザン

ゲオルク・フィリップ・テレマン
・フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための四重奏曲 ト長調
・リコーダー、チェンバロと通奏低音のためのトリオ 変ロ長調
・リコーダー、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ 二短調
・フルート、チェンバロと通奏低音のためのトリオ イ長調
・ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロと通奏低音のためのトリオ ト長調
・新しいパリ四重奏曲 第6番 ホ短調Cd_trioqt_001

国枝俊太郎(リコーダー)
菊池香苗(フラウト・トラヴェルソ)
ジン・キム(バロック・ヴァイオリン)
櫻井茂(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
西沢央子(バロック・チェロ)
上薗未佳(チェンバロ)
岡田龍之介(チェンバロ)

 ゲオルク・フィリップ・テレマンの作品の多くは、親しみ易さと高い音楽的水準を併せ持ち、当時は大バッハをも凌ぐ高い人気を誇ったという。深い味わいを秘めた曲想から、軽妙でユーモラスなフレーズまで多彩に音楽を紡いでゆく彼の仕事ぶりはまさに”音楽の職人アルチザン”。
 このCDでは彼のトリオとカルテット作品から、編成のユニークなもの、作品の質の高いものが選ばれている。それらの魅力を最大限に引き出すべく、国内外の第一線で活躍しているアンサンブルの名手達が技を競い合う、聴き応えのある一枚。ウリは“初めての人でも理屈抜きで楽しめるテレマン・ワールドへ!”
 「…チェンバロと通奏低音のためのトリオ」とあるのは、独奏楽器と伴奏、2台のチェンバロが演奏しているトリオだということを今回知った。メンバーを束ねている岡田氏からリリースの経緯を伺った。
 バロック・ヴァイオリンのジン・キムさんや韓国のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、それに今回のCDにも参加しているトラヴェルソの菊池さん、チェンバロの上薗さんなどと一昨年、東京と鴻巣で演奏しました。音楽的なやりとりが面白く、リハーサルが毎回充実していました。幸い東京、鴻巣どちらの演奏会も好評でお客様の反応も芳しいものでしたが、とりわけ最後のパリ・カルテットでは曲が終わった瞬間、シーンと静まり返りややあってから満場の拍手となりました。
 実は演奏している私たち自身も曲が進むにつれ最後のゆっくりとしたシャコンヌの素晴らしさに圧倒され、私は皆の音、表現からその心の動きがひしひしと伝わってきて感無量の状態でした。そんな私たちの思いが聞き手にも確かに伝わったという手応えが感じられ、この夜の演奏会の余韻の大きさ、深さにあらためて驚き、演奏というものががつくづく一期一会の世界であることを実感した次第です。演奏していることも忘れてしまうほど、曲と演奏が一体になった、そんな不思議な体験を味わいました。

 テレマンの他のパリ四重奏曲は概して、終楽章が快速で華やかな、技巧的な見せ場の多い曲想を持つのに対して、この最後のカルテットはゆっくりとした渋い味わいを有し、表面的な華やかさとは無縁の、しみじみとした枯淡の境地を感じさせ、まさに有終の美を飾るにふさわしい内容と言えるでしょう。
 その演奏会での体験が、「この6番のカルテットを最後に持ってくる、オール・テレマンのCDを作りたい」との思いをつのらせたという。「チェンバロを2台用いたトリオは珍しく、弾いても聴いても楽しい曲ばかり、これに他のトリオやカルテットを加えて…このジャンルの傑作をたっぷり楽しんでもらおう」…こうして数あるテレマンに、是非ものの1枚が加わった。
申込み:岡田龍之介サイン入り:
Fax:042-478-3886 
e-mail:rokada@dk.pdx.ne.jp
http://www.geocities.jp/okadacembalo/index.html
注:写真は、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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