無料ブログはココログ

« | トップページ | »

2010年12月19日 (日)

今年聴いたCDから《ピアノ曲・1》
シューマン:弓張美季&土屋美寧子

 シューマン・ショパン生誕200周年。特にショパンは、胸像がポーランド政府から寄贈されたり、ショパンのイベントをポーランド大使館が自ら主催するなど、力の入れようは半端じゃなかった。日本全国ツアーで10数公演もリサイタルを開く邦人ピアニストも。日頃、「ショパンのいだく“望郷の想い”など我々日本人に分かりようがない」と思っている私だが、そのショパンに2回だけ胸を打たれた。浦山純子(6/11・旧奏楽堂)とイェルク・デームス(10/26・東京文化会館小ホール)だ。どちらも休憩後の後半にショパンが弾かれた。
 デームスは前半がシューマンだったが、私が集中できたのは後半。目が潤んだ。浦山の前半は、シューマン「子供の情景」とシリーズの柏木俊夫「芭蕉の奥の細道による気紛れなパラフレーズ」。この公演については、「浦山純子に降臨?」と題して後半に訪れた奇蹟を報じています。↓
http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-5767.html

Photo_3
 しかし、演奏会での強烈な印象とは裏腹で、ショパンのCDはさっぱり。でも、やはりというか、私の手元には特選盤のシューマンが2点。これは絶品です。共通の演目は「子供の情景」とハ長調の「幻想曲」だが、その他の演目、配列は微妙に異なる。録音は、弓張が同年6月下旬・バウムガルテン(ウィーン)、土屋が2009年11月上旬・彩の国さいたま劇場。

シューマン ファンタジー 弓張美季
(カメラータ・トウキョウCMCD-28198)・¥2,940)
アベッグ変奏曲-子供の情景-幻想曲 ハ短調-献呈
 今年11/27の来日公演にコメントを寄せてくれた。「ショパンがウィーン滞在中に祖国ポーランドで革命が起きました。革命に参加するため祖国に戻ろうとするショパンを引き込めたのがシューマン。ショパンをパリに向かわせたほど彼の才能を高く評価していた…それに私とシューマンは同じ双子座で…」と、弓張さんの思いはとりわけシューマンに注がれる。
 「子供の情景」は“含蓄”そのもの。これまでいろんな方の演奏を聴いてきているが、弓張さんのCDから発せられる音色は、我が家の粗末な再生装置で聴いても、明らかな違いがある。我が家のスピーカー、こんなに低い音が出たっけ? オクターブ低い音かと思うほど、ズシンと腹に響いてくる。
 リサイタルの時もそうだが、弓張さんが弾くピアノは特別仕様だ。このCDのレコーディング・プロデューサー歴戦の井坂紘氏もビックリ。録音会場のバウムガルテンに持ち込まれきたスタインウェイは、「ヨーロッパ中で貸し出されているピアノの中でも最高級のものだったし、その上に調律には名チューナー…」
 自由奔放でいて確固たる信念に裏打ちされ決してぶれることなく…、類い希な集中力そして出ました“ファンタジー”。最後に置かれた「献呈(君に捧ぐ)」は30歳、結婚式の前夜9月11日クラーラに捧げられた歌曲集「ミルテの花」の第1曲。それをリストが8年後にピアノ独奏用に編曲した4分半ほどの逸品だ。
  神戸に生まれ、9歳から15歳までドイツ、その後イギリス・メニューイン音楽院へ留学、で師事した名匠らの名にペルルミューテルの名も。ニューヨーク、ロシア、そしてウィーン在住と続く経歴はファンクラブのHPでご覧いただけます。http://www2.ocn.ne.jp/~miki_y/

『トロイメライ』土屋美寧子
シューマン ピアノ作品集

(ナミ・レコードWWWCC7642・¥2,835)
子供の情景-幻想曲 ハ長調-暁の歌
 副題に「シューマン生誕200周年 [音の詩人]へのLove letter!」とある。「ことさら面白く聴かせようとせず、シューマンに真正面からアプローチし…質実剛健な演奏である」とライナー・ノーツに寺西基之氏が載せているが、むしろ副題のラブレター、「重厚で思索的で、しかも人間的なぬくもりを感じさせる…満を持して」と、結びたい。前菜をおかず「子供の情景」から始まる。最後の曲「暁の歌」には格別の拘りを持っておられる。死の3年前に描かれた14分ほどの曲だが、自身のリサイタルで弾く前にも夫君の公演の幕間に「肝試し」と称して披露するなど…今回まさに満を持してといえよう。
 『いま思うシューマン』と題して土屋さんが寄せてくれた。
 シューマンとショパンの生誕200周年も、あとわずかで終ろうとしています。記念の年にふさわしく、彼らの作品がさまざま取り上げられてきました。それによって、ロマン派の作曲家とひとくくりにされがちだったこの二人が、いかに違う個性を持っているか、も多くの人々に示されたのではないでしょうか。
 ピアノを勉強する過程で、このご両人は避けて通れない存在です。しかし全く異なる性格の二人ゆえ、どちらかにひいき目が行くのは自然のなりゆきかもしれません。
 私がロベルト・シューマンと出会ったのは小学生の頃。岸川基彦先生から練習の課題としていただいた「子供の情景」が最初でした。以来シューマンの作品は私の重要な節目に関わり、そのたびごとに共感度を深めてきました。彼の作品には、ロマン派の情熱の昂揚とともに、悩み多き心の内を語っているような、多声部のからみや、調性のうつろいがあり、私はその心の繊細さに出来るだけ寄り添って、隅々まで神経を通わせた演奏がしたいと思っています。それが尊敬し、愛情を感じている人への献身だと思うからです。
 演奏によって、はるか昔の人物が今の時代に血の通った人間としてよみがえります。このCDは生誕200周年を記念し、また私自身の節目の年の記念にしたいと思って作りましたが、私の描くシューマン像に皆様が共感していただけたらとても幸せです。
http://www.music-wanami.com/profile/tsuchiya.html
注:写真は、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

« | トップページ | »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« | トップページ | »