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2011年8月 3日 (水)

盛夏に一服の清涼剤、《音・楽》
アリオーソ ピアノ トリオ

サントリー 小ホール (8/2)公演

ピアノ:オーレリア・ミカ・チャン
ヴァイオリン:キャサリン・クルーガー
チェロ:荒 庸子
 

・ハイドン:ピアノ三重奏曲 第39番 ト長調 Hob.XV:25
・ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲 第2番 ホ短調 作品67
・シューベルト:ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調作品99・D898
Photo_4

 ハイドンのピアノ三重奏39番。作業場を屋根裏に移したときCDを見失って、この数年ウチで聴いていなかった。のっけから懐かしい調べに包まれて、家のオーディオでこんないい音がしたら素敵だろうな~と聴き入った。
 そう云えば、今までこのホール、人の頭が邪魔になるのであまり良い印象を持っていなかった。でも、この日はそんなことちっとも気にならない。ヴァイオリンとチェロ、二人の弓使いが見えるから、充分。
 それにしても、この心地よさは何処から来るのだろう。そのうち見えてきた。弦の二人もさることながら、ミカ・チャンのピアノがメチャ巧い(実は巧いかどうかなど判らないのだが、音がずば抜けてきれいに聞こえる)のだ。「まだこの時代はピアノ主導の時代だった」そうだが、弦楽器二人の音の邪魔をしていない。ハイドンの頃とは桁違いにデカイ音がするように作られたフルサイズのグランドピアノなのに…ときにピアノの蓋を半開きにして弾く奏者もいるが、今日はご覧の通り。
 プロフィールによると、チェロの荒もそうだが、特にヴァイオリンのクルーガーはミカ・チャンと20年間もパートナー組んでいるとのこと。“荒庸子とジュリアードの仲間たち”というウリだが、その実はむしろ「オーレリア・ミカ・チャンとその仲間たち」なのだ。
 二曲目のショスタコーヴィチの第2番は、客電も落とした薄明かりの舞台に再登場し、チェロが笛のような音を奏でる。そこにヴァイオリンが加わるのだが、こちらの方がチェロより低い音を出したりする。そのうちに舞台を暗くしたのは謎かけの遊び心だとわかる仕掛けだ。プログラムノーツには、第2楽章に挽歌、第3楽章に悲歌の文字が並ぶが、先人の死を悼むロシアの慣わしに従って、音楽評論家ソレルチンスキーの死を悼んで作曲されたという。(勿論)初めて聴く曲だがちっとも退屈しないどころか、ショスタコーヴィチと友だちになれちゃった気分。
 休憩を挟んで、「夕食後のひとときを室内楽に興じる音楽愛好家庭に育ったシューベルト」のピアノ三重奏第1番。正真正銘の“シューベルティアーデ”だ。第一音から天に抜けるように明るい。この時期、こんなに明るくていいのか…と惑うほどだが、人が幸せになることを訝る必要などない。手放しで祝福したくなる、幸せに満ちた文字通りの《音・楽》だった。彼女らの今後を見届けたい。
 初出の告知記は、以下のURLでご覧いただけます。
http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-5b96.html
注:写真は、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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