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2012年6月 2日 (土)

CDベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全10曲
ファイン・デュオ Vn沼田園子・ピアノ蓼沼明美

第1番ニ長調・第6番イ長調・第7番ハ短調(ART-3086)
第2番イ長調・第4番イ短調・第3番変ホ長調(ART-3112)
第8番ト長調・第5番ヘ長調「春」(ART-3124)
第9番イ長調「クロイツェル」・第10番ト長調(ART-3130)
ART UNION RECORD

「ベートーヴェンの録音のきっかけは、ファンの方からの軽いリクエストを私たちが本気にした…というところでしょうか。実は、初めは全曲録音など考えていなかったのですが、1枚CDにしてみましたら、これはやはり時間をかけて全曲取り組まなければならないと思って、私たちのゆっくりしたペースで続けてきた次第です」
…1枚目は2004年、2枚目が2008年、3枚目は2010年とある。3枚ができた時に版元からまとめて届いた。宣伝用なのか「見本品」のシールが貼られていて、空色、肌色、緑と色は違うが同じデザイン。だから商品が届いたとは思わなかった。ピアノばかり聴いていて、ヴァイオリン・ソナタといえば馴染みなのは「春」の愛称がある5番だけだった私だが、録音された順に1枚目から聴いた。何と穏やかな1番。27、8歳のころベートーヴェンにもこんな安寧な時間があったのだ。Between_26番と7番は3年後の曲だという。次第に起伏が大きくなる。「春」は3枚目に出てくるのだが、ここまでは番号順ではない。まさに、彼女らのヴァイオリンソナタなのだ。
 待たれた4枚目の9番「クロイツェル」と10番で完結した。やはり同じ絵柄でピンク色だった。
 改めて、またも1番から聞いた。そして、今この記事も1枚目をかけてから綴っている。
 “ファイン・デュオ”命名の経緯はこうだ。
「私たちは高校から同級生ですが、学生時代(藝高の時)には一度室内楽(バッハのトリオ)を演奏しただけでした。大学院修了後に初めてデュオで共演(1985)、翌年(1986)自主企画の第1回目のデュオリサイタルを開催し、これを結成としています。1987年のマリア・カナルス国際音楽コンクールで入賞してから、デュオ活動を末永く続けていきたいと思い、“ファイン・デュオ”と名前も付けました。“ファイン”には、年々熟成させていけるように…という気持ちを込めたつもりです。
 最初に共演した作品は三善晃のソナタで、若い頃は邦人作品を多く演奏する機会をいただきました。また、今までほとんど演奏されなかった作品を見つけては、紹介もかねて演奏してみよう…という試みを続け、それが3枚のCD“日本の響き”という形になりました。また、リサイタルでは、必ず邦人作品、または現代曲を入れたプログラムにしてきました」
 今回の4枚目に「…10曲の録音を終えて」が載っている。そのさわり。
「私たちファイン・デュオが、本格的にベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタに取り組んだのは、マリア・カナルスコンクールのために第7番のヴァイオリン・ソナタを勉強した時でした。思えば、それから四半世紀もの間、ベートーヴェンを追いかけてきたことになります。今改めて、その尽きることのない泉のような10曲に深く敬服しています。
 私たちはこれまでに、ベートーヴェンの交響曲、協奏曲、室内楽曲、独奏曲などを演奏しては、またヴァイオリン・ソナタに戻ってくるという活動の中で、ベートーヴェンの魂に触れ、作品へのアプローチをゆっくり熟成させてきました。ファイン・デュオはベートーヴェンのCD録音の前に、日本人作曲家の作品集を3枚CD録音しています。…それに加えて、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタにおいては、ドイツ的堅牢な構築物を創造していく上で、その現場に立ち会うための鋭い知性と大きなスケールを求められました。それは、新開地に足を踏み入れた開拓者のように、不安と希望が混在する奮闘と努力に満ちた仕事でした。しかし、いまだにその挑戦は終わってはいません。この終わりのない仕事に、その時々の限界を感じたまま録音を行うことは、演奏家にとってひとつの足跡を残すことにすぎず、将来への一歩であると考えています。録音直後は聴きたくない自らの演奏も時を経て耳にすれば、当時の苦闘の跡にほろ苦さを覚えるとともに、その時々の自分の人生の一場面に微笑み、またさらに新たな演奏をしたいという思いがわきあがります…」
 その後、謝辞で結ばれている。私に聞こえてくるのは… “そうなんだ、ベートーベンって、こんな人だったんだ”…なんだか彼がすぐ傍らにいて、酸いも甘いも知り尽くしたがごとく、ほほえんでいる。
 伝記によると彼は私など想像も及ばない過酷な生seiを生きているのだが、決してその苦しみを表そうなどと思っているのではなく、彼が私に伝えたいのは決まって“生の喜び”。安らぐのはそのためだろう。
 10番までベートーヴェンは15年かかった。おそらく全身全霊をもって臨んだのだろう。彼女らの演奏で、深淵といってもよい境地に達していることがわかる。その彼女らも録音に8年を要したのだが、うれしいことに最初の1番が今なお瑞々しいのだ。
 
 全曲完成記念リサイタルが始まる。6/16の第1回は、先月告知しているので、御覧ください。お二人のお姿は、そのチラシに載ってます。
http://musicalacarte.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-b0ff-1.html
注:写真は、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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