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2012年9月13日 (木)

ラフマニノフ《晩禱》
東京トロイカ合唱団 第19回全曲演奏会

10/19
(金)pm7:00
東京カテドラル聖マリア大聖堂

指揮:河地良智Photo

 私たち東京トロイカ合唱団はロシアの合唱曲をロシア語で歌うべく1999年に結成されたプロの混声合唱団です。2001年に会場を紀尾井ホールから東京カテドラル聖マリア大聖堂に移し、ロシア民謡を封印して活動を年1回の《晩禱》に限ると宣言し、10年以上歌い続けてきました。
 S.ラフマニノフの《晩禱》は同作曲家のロシア聖教聖歌の中でも最高傑作との呼び声が高く、全曲を通して演奏する事はプロの合唱団でも大変な試みです。
半ばヤケクソの決断でしたが、これを境に団員たちのモチベーションは劇的に変化しました。《晩禱》の演奏の難しさが歌い手たちを惹きつけるようになり、演奏の成果を積み上げることが初めて可能になりました。その後の合唱団の成長ぶりは観客のみなさまの方がよくご存知かと思いますが、同じ作品を同じ聴衆に年に1度だけ演奏するという行為は、否が応でも演奏者に強い緊張を強います。この緊張が合唱団を育てたのでしょう。2004年のロシア公演が成功したのもそのおかげです。そしてこの成功は団員たちのさらなる自信となりました。
“ラフマニノフ《晩禱》をあなたも「体験」してみませんか?”
『晩禱』(ВСЕНОЩНОЕ БДЕНИЕ 字義どおりの訳では『徹夜禱』)は、ロシア正教で、大きな祝日、主日の前夜に夜を徹して行われる礼拝(奉神礼)のための典礼曲です。東方正教会では楽器の使用を認めないので、教会音楽は必然的に無伴奏の合唱曲となります。ロシアではチャイコフスキーをはじめ何人もの作曲家が『晩禱』全曲に作曲をしています。中でもラフマニノフ(1873 - 1943)が1915年に作曲した《晩禱》は、ビザンチンにつながるロシアの伝統と「西」ヨーロッパの近代的音楽文法を融合させたロシア正教音楽の集大成とも言うべき稀有の作品です。
 不運なことに1917年にロシア革命が勃発します。無神論を掲げるソ連政権下では、宗教は弾圧され、宗教曲の演奏はおろか楽譜の出版さえ許されない状況が70年続きます。ペレストロイカ後期、なし崩し的に宗教曲が解禁されるなかで、ラフマニノフ《晩禱》はまっ先に演奏されるようになり、遅すぎた復活が始まりました。新生ロシアになってから20年を経過した今、ようやくロシア人たちは口を揃え《晩禱》はラフマニノフの最高傑作だと言うようになりました。
 ところが、現在モスクワやサンクトペテルブルグでも、意外なことに全曲演奏会は年に何度もありません。それにはいくつかの理由が考えられます。まず第一に、やはりこの作品が70年間も「存在しないも同然」だった断絶の長さです。第二に、聖歌が祈りそのものである以上、教会音楽は「演奏」したり「鑑賞」するものではない、という東方正教会の考え方です。この点は決定的に「西欧」と違います。第三に、高い合唱技術とオクタビスト(1オクターブ低いバス)を要する難曲であるため、ロシア正教が国家宗教だった帝政ロシア時代や、合唱(ロシア民謡)がプロパガンダの道具として国家の威信をかけたものであったソ連時代と違って、高い水準で全曲演奏できる環境がロシアでも今はなかなか整いにくい、ということがあげられます。
 
日本での《晩禱》全曲演奏の歴史
 日本では、ソ連でまだ《晩禱》が「幻の作品」だった1987年に、東京男声合唱団と東京荒川少年少女合唱隊がオクタビストなしで全曲初演(第14曲を除く/典礼では週により第13番と14番のどちらかを歌う)をしました。1989年の当合唱団の創設はこの時の歴史的演奏に触発された面が多分にあります。1992年より常任指揮者に河地良智氏を迎え、ロシア民謡主体の演奏会の中で少しずつ《晩禱》の曲数を増やし、1995年に15曲の全曲演奏会の本邦初演にこぎつけました。その後合唱団は、2000年より《晩禱》の演奏機会を確実に増やしその普及を促進するために演奏活動をこの作品に絞るに至りました。聖マリア大聖堂を会場と定めたのは、作品が必要とする長い残響はもちろん、この作品が歌われるのはやはり祈りの場が最も似つかわしいと考えたからです。2004年には文化庁後援によりモスクワとサンクトペテルブルグで公演を行い、「ラフマニノフがロシア人のためだけのものでないことを東京トロイカ合唱団が証明した。聴衆は熱狂して長時間アーティストたちを解放しなかった」(夕刊「ペテルブルグ」)と報道されました。
 毎年私たちは来場者にアンケートをお願いしていますが、回答に共通しているのが《晩禱》を初めて聴いた時の驚きです。おそらくこれは、この作品が私たちが今まで知っている「芸術」(西欧のキリスト教に育まれた概念)の範疇とはどこか違っていることを感じさせるからではないでしょうか。日本での全曲演奏の回数は多分まだ22~23回です。これまで作品の存在を知らなかった方はもちろん、録音媒体を通してしか知らない方も、ぜひ一度《晩禱》を「体験」してみてはいかがでしょうか?
自由席 4,000円 指定席5,000円 
申込み・問合せ:
トロイカ音楽事務所
Tel:03-3203-9070 Fax:03-3207-5909
主催:トロイカ音楽事務所 admin@keigado.co.jp
注:チラシは、右クリック、「リンクを新しいウィンドウで開く」で、拡大できます。

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